266話
「なんでこんなところで、一番会いたく無い人と会ってしまうのだろう・・・・・・」
「誠実く~ん、それはどう言う意味かなぁ?」
「イデデデ!! 恵理さん! 頬はそんなに伸びないです!」
「じゃぁ両方なら伸びるのかなぁ~」
「イデデデ!! ふあ、ふぁめてくだふぁい!」
「ん~なんだって~? お姉さん聞こえな~い!」
誠実は恵理に頬を引っ張られ、両頬を真っ赤に染める。
「ひ、酷い目にあった・・・・・・」
「お、お姉ちゃんが良く家に呼んでた友達ってこ、この人だったんだ・・・・・・」
「えぇ、大学で仲良くなってね、まさか妹とキスしてた男の子の知り合いとは思わなかったけど」
「あの、キスの件はもう言わないで貰えませんか? 俺も沙耶香も気まずいです・・・・・・」
「まぁ、誠実君も男の子だもんねぇ~狼になっちゃう事もあるよねぇ~」
「恵理さんはなんでそんな笑顔でドス黒いオーラを出してるんですか?」
こんな気まずい場所にこれ以上居たくない誠実、早く帰ろうと誠実はその場を後にしようとする。
「じゃ、じゃあ俺はこれで・・・・・・沙耶香、恵理さん、あとお姉さんもそれじゃぁ・・・・・・」
「待ちなさい少年」
「な、なんでしょうか? お姉さん・・・・・・」
「少し詳しく話しを聞きたいのうちでご飯食べて行きなさい」
「い、いや・・・・・・ご迷惑でしょうし・・・・・・」
そんな気まずさで死んでしまいそうなイベントに参加したくない誠実は、沙耶香の姉の誘いを丁重にお断りする。
しかし、沙耶香の姉は誠実の腕をグイグイ引っ張り家の中に入れようとする。
「大丈夫よ! 今日はお父さんもお母さんも帰ってこないから」
「余計に嫌です!」
「なんでよ、こんな美少女に囲まれて何が不服なのよ!」
「不服は無いですけど、普通に嫌なだけです」
「まぁまぁ、良いから上がって行きなさいって! 色々聞きたい事もあるし」
「い、いえ・・・・・・自分は何も話す事はないので・・・・・・それでは!」
「あ、逃げた!」
誠実は隙を見て、沙耶香の姉の拘束から抜けだし、家に向かって走った。
「はぁ・・・はぁ・・・・・・ま、まさか沙耶香のお姉さんと恵理さんが友達だったなんて・・・・・・またややこしくなりそうだ・・・・・・」
誠実はため息を吐きながら、その場を後にする。
帰り道、誠実のスマホが何度も鳴った。
「はぁ・・・・・・また恵理さんだ」
恵理から誠実に対してずっと連絡が来ているのだ。
その理由は先程の沙耶香とのキスの事だった。
「い、今は出ないでおこう・・・・・・」
きっと電話に出た瞬間、色々聞かれるに決まっていると、誠実は恵理からの着信とメッセージを見ないようにし、スマホの電源を落とした。
「ただいまぁー」
「ん、おかえり。おにぃ今日遅いじゃん」
「あぁ、まぁな・・・・・・」
「何かあったの?」
家に帰ると、短パン姿の美奈穂が誠実を出迎えた。
「生徒会の手伝いすることになってな」
「え? おにぃが?」
誠実が二階に上がっていくと、美奈穂も続いて二階に上がってきた。
「なんでそんな事してるの? てか、おにぃがそんな事出来るの?」
「色々あったんだよ・・・・・・てか、お前の部屋のエアコン、いつになったら直るんだよ」
美奈穂の部屋のエアコンが壊れてから、誠実と美奈穂は同じ部屋で寝ていた。
あれから三日が経つが、美奈穂は今日も誠実の部屋に居る。
「あぁ、なんかもう部品が無いらしくて、新しいの買うしか無いんだって、だから今週の土曜日、新しいエアコン買いに行ってくる」
「マジかよ! 良いなぁ~俺の部屋のエアコンも新しくして欲しいよ」
「まだ使えるでしょ?」
「まぁそうだけどよ・・・・・・」
「ちょっ! な、何急に脱ぎ出してるのよ!」
「え? いや、お前が俺の部屋に居るからだろ? 帰ってきたんだから、着替えるよ」
「良いから外で着替えて!」
「ここ、俺の部屋なんだが・・・・・・」
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