第19話 合唱部部長 生田慧

 「秋人あきと!かわいい子連れてきたわね!!この子が例の彼女ちゃん?」


「彼女っていうか、、」


「合唱部の部長をしてる生田いくたけいよ、宜しくね」


 秋人くんにそう話しかける女の人。

いいなぁ、背が高い167センチはあるんじゃないだろうか。あぁいいなぁ、羨ましい。


 ん、生田?


 「秋人あきとくんとはどういう‥」  

「私はね、秋人あきとの姉です。

秋人あきとが迷惑かけてない?」


「いえ、というかお姉さんがいたこと知りませんでした、、ご挨拶遅れてすみません」


「いいのよ、あの子私がこれだから姉がいると思われたくないみたいで」

秋人あきとくんのお姉さん、生田先輩は

そうおかしそうに笑った。

笑顔が秋人あきとくんにとても似ている。


「私ばっかり喋ってごめんなさいね

まゆちゃん、よね」


「はい、羽純はすみまゆと言います。1年1組、です。秋人あきとくんとお付き合い…させて頂いてます」


「そう、こんなかわいい子が秋人あきとの彼女ちゃんで嬉しいわ!」


「ぶちょー、そろそろ練習しましょうよ」


「そうね、練習しましょうか」


良ければ聞いていって頂戴

と生田先輩が言うので合唱部の歌う所を聞いていくことにした。



「〜♪」  

曲調に沿い、重なるハーモニー

生田先輩は音に乗るように滑らかに清らかに音を紡ぎ、歌っていた。

−−−−−−−−−

「どう、、だったかしら?」

ちょっと緊張したのよ、、とはにかみ生田先輩は笑う。


「姉さんの音は相変わらず綺麗だね」 

「ふふ、ありがとう」


「でも、彼女の前で他の女を褒めるものではないよ」

「私でも、ね」


「…ねぇ、まゆちゃん、興味があれば、なんだけど、合唱部入らない?」


秋人あきとから声が綺麗だって聞いてるし、」


「私は今年こそ全国奪還したいの。

貴方の歌声は全国に行ける力がある。」


「去年、先輩が卒業してから我が合唱部は弱体化してしまった」

    

 「貴方たまに、遅くまで学校残って歌っているでしょう?」

「その声を聞いた時、なんて綺麗なんだろうって思ったの、、そして秋人あきとの同じクラスの子って聞いて、ぜひ連れてきて欲しいってお願いしたの」



「返事は焦らないでいいからいい返事を待っているわ」


「それと、騙すような真似してごめんなさい」


前向きな返事を待っているわ、と生田先輩は言った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る