第13話 約束しましょう、2人だけの約束を

生田いくたくん、ドッキリだなんて酷いこと言ってごめんなさい」


「そんなの大丈夫だよ、気にすんな」


生田いくたくんはふわりと笑った。

ああ。安心する。

誰にでも優しいあの笑顔だ。


「い、生田いくたくん、私、は、」

一歩、踏み出すのは勇気がいる。

怖かった。


私は昔から気持ちを伝えるのが得意では無かった。だからこそ、殊更自分の言葉を使って、己をさらけ出すなど緊張して、どうにも吃ってしまうのだった。


だから、怖い。


私はそう聞いた。


「私は、自分の気持ちを伝えるのが得意じゃないんです。でも、ちゃんと話したい。皆と分かり合いたい。引っ込み思案で臆病なんです。そんな、私なんです。」

「本当に守り抜いてくれるんですか、

私でもいいんですか」


「ああ、守るよ。今から、ずっと」


ちっぽけな姫へ王子は応える。

王子の答えに姫は微笑む。

この人となら、この人を信じれる気がした。


繭はほっと、息をつく。

縮こまった身体が緩やかに解けていく気がした。


生田いくたくん、


私もあなたのことが好きです。

ずっと隣にいさせてくれますか?」


「俺は羽純はすみ、、、

まゆにずっと隣にいてほしいんだけど?」


「じゃあ約束しましょう、2人だけの約束を」


「どんな約束なんだ?」


「“お互いを裏切らない約束です。”」

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