第12話 好きなんだ。とても。

「ごめんな、急に」


俺が羽純はすみを好きなことは一方的だとわかっている。

羽純はすみはわずかに目を見開き、罰が悪そうに目を伏せた。


彼女自身が吐いた言葉に責任を感じていることと、俺の言葉に戸惑っていることが何となく見て取れた。


————


私は昔から気持ちを伝えるのが得意では無かった。

自分の主張がないわけでは無かった。

でも、みんなの輪を壊したくなくて、嫌われたくなくて、人に何かを話したことなどなかった。


「遊ぼうよ」

「でもまゆちゃん何考えてるかわからないや」


も一緒でいいよね」


いつしか必要以上に人と話さなくなった。

よく話すのは兄と両親だった。


気持ちを伝えなきゃいけないのは自分が分かっているが、

負担になってしまわないかとか考えてしまうのだ。


そんな自分に眩しい存在でクラスの人気者の彼が現れた。

平等に優しく、気持ちを伝えることが不器用な私を笑うこともなく、話を聞いてくれる彼にいつしか惹かれていた。


でも、そんな彼と私が釣り合うわけがない


そう気持ちが傾き、ドッキリかなにかと私は言ってしまった。

彼の気持ちなど知らずに


このままじゃだめなんだ、きちんと自分の気持ちは自分で言わないと


そうじゃなきゃ伝わらない。


私は口を開いた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る