第11話 どうしよう

言ってしまったと思ったけれど、それはもう遅くて

「あ、あの!」

「仕方ねぇよな、だって俺、羽純はすみのこと分からねぇもん。

羽純繭はすみまゆ港ケ崎高校1年1組、

血液型A型 自己主張が苦手で趣味は読書で

歌が好き、

そして綺麗な心を持ってる羽純繭はすみまゆなんてこと俺は知らねぇもん」


(それは十分に羽純はすみを知っているうちに入ると思うが、

この男にはそれは入らないらしい)


「私は、生田いくたくんが思うより綺麗じゃないし、もっとかわいいひとの方が似合うよ。」


「勝手に自分の価値を決め付けるなよ」


「それに、、俺が迎えに来ましたっていった意味、羽純はすみならわかるだろう?」


私はそれに見ないふりをしていた。


未成年者特例婚姻法


国からの結婚通知書。その相手の名前を。


「本当に守り抜いてくれるんですか、

私でもいいんですか」


そう小さく紡いだ言葉は、迎えに来た王子へちっぽけな姫の返答だった。


「ああ、守るよ。今から、ずっと」


ちっぽけな姫へ王子は応えた。

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