第8話 好きなら守り抜くのが男だろ

「あなた、生田いくたくんとどういう関係なの?」

どう…いう…関係…

そう言われて私は固まる。

ただ彼は話しかけてきてくれた。

私を笑いもせずに優しく話しかけてきてくれた。その時臆病な私だけど世界が少し優しく見えたのだ。

ただ、それだけなのに。

生田いくたくんは、"只の"クラスメイトですよ?隣の席の」

そう、"只の"クラスメイト

もうすぐ席替えで彼とはもう隣の席じゃなくなる。

なのに…どうしてこんなに悲しいの?

「…っ」

ぽたぽたと流れる涙にぎょっとした顔をする彼女

聞いてきたのは貴女の癖に

「っ!生田いくたくんは貴方なんか見ていないわよ!」

「そんな…そんなの分かってますよ!」

自分といくたくんは遠い存在だって分かっている


そんな時だった

羽純はすみ

生田いくたくん?」

「どうし…て」

どうして生田いくたくんがここにいるの??

私と彼女の声とは違うもう1つの声に驚いて振り向くと生田いくたくんは言った。


生田いくた「清良、何をしているんだ?」

「わざわざ呼び出して羽純はすみ泣かせたのか?」

清良せいら「違うわよ!あの子が勝手に泣き出しただけ!」

羽純はすみ生田いくた君、私が勝手に泣いただけですから…」

生田いくた「勝手に泣くのは可笑しいだろう」

清良せいら「はぁ!?この子の肩を持つって訳!?」

生田いくた「泣いてる女子を放っておけねぇんだよ」

呆れたのか彼女、清良せいらさんは教室から出ていってしまった


「どうして、あんなことを言ったんですか?」

「…だから、」

「え?」

「好きなら守り抜くのが、男だろ…」

「俺は羽純はすみお前が好きだ」


全身の熱が顔に集まる感覚がした

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