『有象』

有象が曇天を刺す。

散々自分を殺してきた自分はどれだけ罪深い?

何度壊したって届く筈も無いじゃないか。

幾重にも重なった分厚い壁なんて。

壊してしまえ。

ッて想ったのに。

突き壊した先に何があるかなんて知らない。

ただ無性に君の隣に居たくて。

手が届かない事なんて元から知ってたくせに。

恥知らずにも手を伸ばして。

莫迦ばかだな。』

ッて嘲笑う自分の顔を見てまた僕も笑う。

所詮生きる意味なんて人それぞれで。

届くッて無邪気に信じたのは何時までだっけ?

どうだっていいや答えなんかないさ。

有象無象が蠢く。

蠢く街並みを冷めた目で見下ろしてた。

今日も嘲笑う三日月を眺めて淡々と日常を終える。

『どうせ皆孤独な独裁者なんだよ。』

ッて嗤う声も。

『どうせ独りだって嘆くんだよ。』

ッて囁く声も。

『どうせ面倒臭いんだよ。』

ッて疑る声も。

『どうせ裏切られるんだ。もーいーや信じない。』

ッて諦める声も。

どうせ全部自分本位の言葉だったんだよ。

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