第13話C『草加市ARゲームギガフィールド』

###第13話『草加市ARゲームギガフィールド』



 それから数週間後の6月27日――様々な勢力がネット炎上を仕掛けようとして阻止される流れが続く状態に終止符が打たれたのは、この日だった。

その理由として、ガーディアン側が一連のまとめサイトをまとめていた勢力を発見し、それを摘発したのが大きい。

これらの動きがまとめサイト上でアップされなかったのは、自分達も閉鎖に巻き込まれると考えていたのだろう。その為、本件に関する詳細は不明のままである。

 それに加えて、一部ランカーの動き等もまとめサイトでは全く書かれていない。

単純にプレイ動画を見ていたとか――ゲームをプレイしていたと書いても、閲覧数を稼げないと判断したのだろう。

下手にねつ造すれば夢小説と言われて別の意味でネット炎上は避けられない。こうした記事は即座にナマモノ作品と認識され――風評被害は不可避である。

ARゲームでは、いわゆるナマモノ小説を禁止にしているのだが――こうした炎上を回避する為だったのかもしれない。

そして、このガイドラインはまとめサイトの一斉摘発等に使用されている事情を踏まえれば――ある種のハニートラップと言える可能性は高いだろう。

【ナマモノ小説が表舞台に立ち、あたかもそれがメジャーな小説よりも人気を誇るようになるのは――】

【我々が守るべきなのは、歪められた情報ではない。より、真実に近い姿なのである。だからこそ、歌い手や実況者、プロゲーマー等を題材とした夢小説は許せないだろう】

【――自分の思うがままの作品を書きたければ、完全一次創作で表現するのが正しい形ではないのか?】

 これらもまとめサイトで書かれていた一文だが、ある意味でも別世界からの警告にも見える内容だったのは間違いない。

「守るべき権利は守られるべきであり、それを脅かす勢力は何であろうと容赦は――」

 ガーディアン側の動向も気になっていた神原颯人(かんばら・はやと)は、サービス終了が近づくアカシックワールドにふと心残りを感じている。

彼は今回に限って言えば、草加市ARゲームギガフィールドに姿を見せている。何故かと言うと、ある会議の打ち合わせと言うのもあった。

ARゲームメーカの半数以上がアニメ・ゲームサミットに出展すると言う事もあり、その他のメーカーからも注目されている。

だからこそ――迂闊なネット炎上が起きては、ARゲームもソシャゲのように炎上マーケティングが常習化するのではないか――と思われてしまう。

「とにかく、我々には出来る限りの事を――」

 そして、神原は北口の自動ドアから打ち合わせ会場へと向かった。

彼以外にもゲームメーカーのスタッフが姿を見せている為、ここで打ち合わせを行う事は各メーカーに伝わっていたらしい。

そこで何を行うかまでは知らされていないが、30分程度で終わる事がメールで知らされていた。

「それにしても、ヴェールヌイは何を――?」

 自動ドアを抜けて、打ち合わせ会場へ向かう途中、搬入口付近でコンテナを見つめているヴェールヌイを発見した。

しかし、向こう側からは蒲原の姿は確認出来ない。特殊なマジックミラーとも言うべき特殊な透明プレートの壁と言うべきか。



 27日――それは、ヴェールヌイが一連の作戦を行う前日でもあった。この日の天候は晴れで、曇ひとつない快晴と言うべきである。

この時期に快晴と言うのも不思議なものだが、梅雨明けと錯覚する位には気象予報士泣かせなのは間違いない。

 草加市ARゲームギガフィールドの北口駐車場付近、そこでARガジェットコンテナを準備していたのが――ヴェールヌイである。

コンテナに収納されているガジェットは2メートル程度のコンテナが3つ――と言う事で、おそらくは武器系統ガジェットだろうか。

しかし、コンテナのロックは厳重であり、今のタイミングでは開かない。その理由は単純な物だった。

「ARシステムが仮起動するのが28日――そう言う事か」

 太陽光と風力、その他にも周囲の川を利用した水力発電も用意されているが――50%程の太陽光と風力のみでは、ARゲームを全て動かせない事かもしれない。

それだけの電力を必要とする施設――近隣に原子力発電所を作ろうと言うのであれば、何処の都市開発ゲームなのか――と炎上するだろう。

現状で動かしているのは明日にイベントで動かす予定の数機種、更には新作機種のみである。アカシックワールドは対象外と言う事で、システムもインストールされていなかった。

「これはこれで、逆に都合がよいのかもしれない」

 ヴェールヌイは周囲の搬入で慌てている光景を見て、システムの起動は明日でも間に合うと考えた。

今回に限れば斑鳩(いかるが)の姿はない。今の彼女は近くのARフィールドでアカシックワールドをプレイ中だろう。

「しかし、周囲をガラス張りに近い建物にして――何を狙っているのか?」

 ヴェールヌイがふと気になったのは、施設の外見である。クリスタルとも表現できるようなプレートが建物をガードしている――という表現が正しいかは不明だ。

異色とも言える建物のデザインは一般客からすれば、奇妙な形状の建物とSNSで話題にはなるだろうか。ARゲームプレイヤーから見れば、その光景は別に見えるのかもしれない。

ヴェールヌイからは、建物内にいる人物の姿は確認出来ないのだが、これはプライバシー的な部分という可能性が大きいだろう。



 プレス向けの施設公開は昨日の内に全て終了し、あとはテレビ放送を待つだけと言う状態だ。

これほどの大型施設となれば日本全体で見ても注目度は高いし、海外からの注目も――間違いはないだろう。

しかし、施設の代表者はテレビ局の取材も一部に限定、プレスと言っても炎上系やアフィリエイト系まとめサイトが入りこまないように厳選した状態である。

 これで思ったような客足を期待できるのか――と言われると疑問が浮かぶ。

希望者の取材は全て受けるべきだったのではないか、という声も内部から出るほどだ。

あくまでもお金を積めば全て解決出来ると思っているような人間からは、ネット炎上や炎上マーケティングを起こそうと言う気配を感じる――そう代表者は語っている。

彼は超能力者の部類ではないし、第六感を持っている訳でもない。単純に空気を感じ取れるだけなのだろう。

「我々としては、ファンがモラルを持ってコンテンツを拡散してくれれば――それでよいのだが」

 その代表者の正体は――アカシックワールドを展開しているメーカーの社長である。

むしろ、代表者と言うよりは共同管理者の一人と言う可能性も高いが――。



###第13話『草加市ARゲームギガフィールド』その2



 草加市ARゲームギガフィールドの1階にある大規模イベントルーム、そこで今回の打ち合わせが行われる事になった。

本来であれば会議室もあるのだが、部屋自体は完成済みでも――臨時のサーバールームとして使っている為、このような処置が取られた。

イベントルームのメインステージにはパイプ椅子とパイプ式の折りたたみテーブル、観客席にはパイプ椅子――まるで、学校の卒業式である。

椅子には特に来客者の名前が書かれている訳ではないので、そのまま座っても問題はない。神原颯人(かんばら・はやと)は、そのまま後方に置かれた椅子に座った。

一番前の列から一番後ろまでは10程度の横列にパイプ椅子が並んでいる縦も10列なので、事実上は100程度のいすが並んでいる事になるだろう。



 10分後、メインステージには司会と思われる背広姿の男性が現れた。その人物は特にメーカーからのスタッフではなく、この施設のスタッフらしい。

『これより、アニメ・ゲームサミットの打ち合わせを行います――』

 これ以降は録音禁止と言う事もあり、内容はメーカーへ持ち帰ることとなった資料に書かれている。

その内容は、メインイベントに各種ARゲームメーカーによるプレゼンが用意されていた。この辺りは神原も想定内――だったのだが、問題は途中から。

コスプレイベントも先日ニュースで報道された事があるし、新作ゲームのロケテストも有名ゲームサイトで情報が解禁されていた。

 特に目立った物はない――と誰もが思っていたのだが、更なる衝撃は――別の内容だったのである。

『今回のイベントですが、あくまでも草加市ARゲームギガフィールドのPRが目的です。メーカー個人で悪目立ちがする事無いように、気を付けてください』

 司会の男性からは色々と釘を刺されるような発言もあった。先日、ある歌い手がネット上で大炎上し――それこそ芸能事務所AとJのかませ犬にされたのである。

大方の予想通り、ネット上で炎上するような芸能人よりも芸能事務所AとJのアイドルをテレビ局やメディアが集中的に取り上げ、それこそ炎上系まとめサイトや便乗宣伝クラスと言える宣伝活動を行った。

こうした事例を司会が言及する事はなかったが、あの一言はそれに言及しなくても分かってくれるだろう――という意味合いがあるのかもしれない。

『そして、我々はある人物から最重要の機密を手に入れました。それは、ジャンヌ・ダルクに関してです』

 まさかの発言が司会から――と思われたが、その発言をしたのは壇上にいる別の男性スタッフからだった。

彼は神原とは別のライバルメーカーに所属するスタッフで、過去には色々と黒い噂があったという話がネット上にはゴロゴロしている。

『ジャンヌ・ダルクに使用されているAR技術、それは我々よりもレベルが上の技術である事が判明しております』

 この発言に対し、案の定というか周囲からは動揺が――。しかし、単純に不安を煽るだけであれば話す必要はないのでは――という意見も飛び交う。

確かにジャンヌ・ダルク事件はARゲームにとっても、コンテンツ市場を一変させるような事件なのは間違いない。他社メーカーも情報は仕入れている。

しかも、彼は声が震えることなく――淡々と発表したのだ。どう考えても、不安をあおる言い方ではないのは目に見えている。

「上の技術と言うのは、我々のレベルを10に例えると――ジャンヌは100とでも言いたいのでしょうか?」

『100で収まれば、こちらも深刻には考えないでしょう。逆に楽天的になったり、慢心する事もあったと思います』

「まさか――?」

『そのまさかです。彼女の技術は、最低でも300位はあると思っていいでしょう。それ以上なのは――明白でしょうが』

 一人の男性スタッフの質問に対し、男性スタッフは断言する。ジャンヌの技術レベルは300を超えている――と。

それに加え、彼女の技術はサブカル的なアニメやゲーム、漫画と言った作品に影響された部分もあると言う。

以前にジャンヌが元々の小説作品とは違う部分――いわゆる二次オリであるという、あの人物の考えはあながち間違いではなかったようだ。



 周囲が動揺するのも無理はないが、それでもジャンヌの一件は解決していかないといけない問題である。

そうしなければ、海外展開等にも支障が出る可能性が高いし、特定芸能事務所が流通ラインの独占をする可能性も否定できない。

炎上マーケティングやマッチポンプ的な超有名アイドル商法や賢者の石商法は時代遅れと言うよりも、過去の黒歴史と言われても文句は言えないだろう。

「では、私からも質問を――。今回のジャンヌに関する情報提供者――それを教えていただきたい」

 神原はどうしても気になる部分があり、直球ではあるが質問をぶつける。

これが回答できないとなると、フェイクニュースに踊らされているか――別の陰謀説も否定できない。

『本来であれば、明日に発表する形でしたが――』

「明日?」

『イベント当日のサプライズです。そう言った形で発表する形を取ると情報提供者とも合意していました』

「合意しているのであれば、あえて言及は避けましょう。フラゲ発表でネットが炎上するのは日常茶飯事ですから」

『今回の情報提供者に関しては、明日のサミット当日でサプライズイベントを開くと言及しております。そこまでは秘密と言う事で――』

 秘密と言われると、これ以上は何も言及は出来ない。神原は様子を見る事となった。周囲の様子を見て、盗撮をしている人物がいないかどうか――。

しかし、盗撮をしているような人物は見かけられないのは――どういう事か?

『一応、気になる方もいるかもしれないのですが――この周囲には特殊ジャミングを展開しております。その関係でARガジェット以外のスマホ、携帯等は圏外となりますので――』

 神原も思っていた疑問は、これで解決した。ARガジェットは通常起動するのに――スマホが圏外で通話及びインターネットに接続できなかった事――。

「では、もう一つだけ。今回の情報提供者はアカシックワールドのプレイヤーですか?」

 神原の発言は、ある意味でも自分にとっては情報提供者が分かるという意味での質問である。

他の参加者にとってはさっぱりな内容であり、このような質問に答えるとは考えられない――と言うのが周囲の反応だ。

『ヒントと言う意味であれば――向こうともある程度は了解を取っていますので』

 どうやら、答えてくれるようだ。周囲の動揺はある程度想定済みだが――これは意外過ぎる。

『――確かに、アカシックワールドのプレイヤーなのは間違いないです。それを証明する、プレートも拝見しましたので』

 彼の言う事に間違いがなければ、本物のプレイヤーで間違いない。しかし、1プレイヤーがそこまで知っている物なのか?

どう考えても、ジャンヌ・ダルク事件を把握している人物でなければ――!?

そして、神原はこの回答からある人物が情報提供した、と確信した。

おそらく、この場所にジャンヌ・ダルクが現れると言う情報を掴んでいるのかもしれない。

だからこそ、あえてイベントと言う形で大きな事件にはせずに決着を付けるつもりだ――そうでなければ、ここまで情報を出す事はないだろう。



###第13話『草加市ARゲームギガフィールド』その3



 イベント会場で行われた打ち合わせが終了し、各メーカーの代表が移動しているのに対し――神原颯人(かんばら・はやと)は席を立ったのみで移動する気配がない。

司会の男性に見覚えがある訳ではないのだが、どう考えても――踊らされていたのはこちらである可能性も否定できなくなった。

「もしかすると――アカシックワールドも自分が作ったものと錯覚をしていたのか?」

 神原はふと思う。あくまでも自分の開発した作品であるはずのアカシックワールド、それはメーカーからの指示で作られた作品では――と。

そうなると、ジャンヌ・ダルクも最初から出現する事を向こうは承知していたのか? それこそ、マッチポンプなのではないか――。

しかし、WEB小説で類似のパターンを迎える作品が多い訳ではないが、有名と言う訳でもない。メーカー側が把握しているとも考えづらい。

「やはり、疑うのはパワードフォースと類似した世界観である部分だったのか」

 神原はアカシックワールドのベースにパワードフォースと類似した部分があるのを分かっていた。

一部のプレイヤーも把握していたはずだが、あえて指摘する事はなかったのである。

後にパワードフォースサイドが許可をしたという話を聞いたのだが――あまりにも段取りが早すぎるだろう。

つまり、最初からパワードフォースもジャンヌ・ダルクも織り込み済みだったと考えるのが自然だ。

「これでは、自分もメーカーに踊らされていた道化師と言う事か――」

 神原はアカシックワールドを広める為に様々な策を打ち出し、暗躍もしてきた。

しかし、それらは全てメーカー側に泳がされていた結果――そう考えるようになったのである。

だとすると――その辺りもヴェールヌイは承知していたのか? その上で、メーカー側に情報提供を行ったのか?



 午後4時ごろ、あるニュースがネット上で話題になる。それは、明日のプレオープンを控えた草加市ARゲームギガフィールドについてだ。

場所が草加市にある、電車で行くとしても私鉄も利用する必要性、駐車場が足りない、どの層に訴える施設なのか――どれも違う。

ARゲームだけで作られた施設、ゲームセンターを大型施設にしてどうするのか――もネット上では稀に言及されるが、今回はそこではない。

【ジャンヌ・ダルクらしき人物が明日のイベントに出るらしい】

【どういう事だ?】

【ニュースでも画像が出ていただろう。あの女性だ――多分】

【まさか――?】

【そのまさかだろう。ただし、ジャンヌ・ダルクと言う名前ではエントリーしていないようだが】

【しかし、コスプレイヤーの名前はHNの様な物でエントリーしている以上、正体がばれる事は――】

【忘れたのか? ジャンヌはARバイザーは使用していたかもしれないが、素顔は晒している】

【これが素顔をさらすというリスク――】

【さすがにARゲームプレイ後に襲撃、ストーカー等の行為は――明らかに犯罪だ】

【最近は歌い手や動画投稿者でも炎上行為が広まり、それこそ芸能事務所AとJのアイドルに金を落とせと言う傾向が強くなっている】

【ジャンヌが炎上するとは考えにくいが――】

 ネット上のつぶやきまとめサイトと思わしき物を見ていたのは、ヴェールヌイである。

彼女は――こうなる事も想定して一連の作戦を実行したのか? 

「アカシックストーリーズの正体を探るにつれて、こうなるのは予想していたが――ここまでとは」

 この状況は別の意味でも想定外だったが、ジャンヌもこうなることは承知で最後の賭けに出た可能性は高い。

ネット炎上勢力とジャンヌが協力をしていない事は――これで証明された形だ。

「しかし、あの人物が――施設の管理者だったとは。厳密には複数管理人体制の一人――と言うべきか」

 ヴェールヌイが会場を借りる際、姿を見せた男性――彼はあるゲームメーカーの関係者とは自分で言った。

しかし、どのメーカーなのかは彼の口からは言及がない。そして、情報提供を条件に施設のレンタルをしたいと持ちかけた所、まさかの許可がもらえた。

上手くいきすぎている事にはご都合主義的な何かが――とも思ったが、それは考え過ぎだろう。

「後は――作戦当日に雨が降らないことを祈るか」

 ヴェールヌイは自室のテレビを付け、気象情報が丁度流れたことにはタイミングが良いと思った。

その中で、明日の天気は晴れのようである。



 午後5時、ARフィールドでアカシックワールドをプレイし続けていたのは、蒼風凛(あおかぜ・りん)だった。

既に十連勝程はしているだろうか――メインであるガジェットはショートメンテナンスを行っている。

その間に彼女はARインナースーツを着たまま、センターモニターの別動画を視聴していた。

「利益至上主義に走るような気配はないが――これは、どう受け取るべきか」

 心境が複雑だったのは、草加市ARゲームギガフィールドのCMを見た辺りからだ。

いよいよ、明日にはプレオープンと同時にアニメ・ゲームサミットが開催される。それに対して、期待よりも不安の方が強い。

「ネット炎上勢が動くのは明らかだろうし、それに――ジャンヌ・ダルクも気になる」

 神経質になるような案件ではないのだが――状況が状況だけにそうも言ってられない。

タダ乗り便乗やネット炎上勢力が、これを利用しない訳はないだろう。おそらく、税金の無駄とかふるさと納税辺りの単語を利用するのは明白だ。

過去にもふるさと納税に関しては使用方法でもめた事があった経緯があり、そうした事件をまとめサイトに載せるだろう。

 ただし、載せるとしてもWEB小説の内容を切り貼りして、いかにも現実に起きたような事件として扱う事であり――明らかにネット炎上狙いだが。

彼らが炎上させる目的は、草加市に大規模施設は不要と訴える為とか、一般市民を置き去りにしたヲタクを利用しての聖地巡礼に反対――と言うようなアンチ勢力を呼び込もうと言う策かもしれない。

「しかし、最初から炎上するというレッテルを貼って切り捨てるのは――アイドル投資家のやることだ。こちらが取っていい行動ではない」

 若干落ち着き始めた彼女は、ショートメンテが終了したというメッセージが来たのを確認し――再びアカシックワールドをプレイし始めた。

今回の件はARゲームをプレイしているプレイヤーが決める事であり、エアプレイ勢力やネット炎上勢力等が決めていい物ではない。

全ては、明日――イベント当日に判断が下される。

【イベントは3日間――遊びつくせ! ARフィールドを!】

 CMのテロップには、このような表示があったが、蒼風は確認する事無く――アカシックワールドのエントリーに向かっていた。

つまり、明日だけで決着するとは限らない――イベントは長期戦である事が明言された事になる。


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