その時、雨が降った、桜とともに

シンエンさま

その時、雨が降った、桜とともに

雨が降り注ぐ、

雪かのように

僕は感じる。


その時に秋は寒かった、

風が涼しかった。

着心地良く僕は

窓の横で物語を紡いでいた。


さんざん言われっぱなしの人生には

時に生まれる小型な幸せなんだ。

それを、僕は感じる。


雨が降り注いだ、

桜とともに、

舞い落ちる花弁を見ると

羨ましく

僕は思う。


人に眺められ、

人に写真にまで取られ、

注目を浴びる存在なんだ。


時に僕は泣いている。

独りぼっちで啜り泣く。

息が苦しいほど泣いていた。

夜も眠れなくなるほど

心が痛かった。


だがね、

思うよ。


小説の中か、

動画の中か、

まるで別のところのファンタジーなんだ。

自分の見たことのないファンタジーなんだ。


自分の撮ったビデオも、

他人の撮った写真も、

自分はいるけど、いなかったって

時には思うよ。


だがら分けるんだ。

ビデオ、小説、アニメの中の世界に

桜の雨が降っている。

リアルでは雨が降っていく。

そんな分けた世界の真ん中にある

僕の脳が楽しんでいる。


現実の苦しみを味わいながら、

空想な世界で僕は楽しむ。

その誰だって知らない空想の世界に

暫くして現実から逃避しても

いいんだ。


そんな風に小説は楽しめるんじゃないか。

そんな風に小説は面白いほど価値があるんじゃないか。

飢える自分の心を癒すためだけに

生まれる作品だって、

あるんじゃないか。


だから、

努力するよ。

いずれあの苦しい雨が

困難と混ぜ合って涙を零す時が来れば、

君が楽しめる物を、

僕はこの身を捧げて

紡ぎあげるよ。


心は願うよ。

君が僕の冴えない此処を訪れる度に、

桜が常に降っているかように、

どくしゃに楽しんでほしいよ。

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その時、雨が降った、桜とともに シンエンさま @shinennsama

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