第4話 どうしてだろう

――――――――――――なりたかった。

「なれたの?」

「いや、なれなかった。」

誰も居なくなったこの世界で自分は何かになろうとしてる

植物もヒトも生物も全部いなくなったのに――何かだけ生きている

「なろうとした。」

「何に?」

自分で自分に答えを返して返すたびに物を投げつける。

何にもなくなった世界と何にもなかった世界で何をしてもそれにはなれかった

唯一取り残された自分は全世界の人たちに託された――何か

町も国も村も都も全部――何かになった。

「なれるんだよね」

ああなってみせる、なりたかったんだ。

――何かだとかじゃなくて、なりたかったんだ。

今日も明日も明後日も明明後日も――何かになりたくて、いやなりたくなくて、なりたかったんじゃないの?なろうとしたんじゃないの?

「違う。」

聞こえたくない声が聞こえてきて聞こえてほしい声が聞こえてきて聞こえたくないのに

なりたかった。

なりたくないの?

なろうとしたんじゃないの?

なれるよ。君なら。

だからね――――――


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