第156話 第一区画 マナ、コッパ、ジョウ、リズ 中編
「マナ、早くしろよ」
「分かってるよ。まだ慣れてないの」
マナはじっと
「コックピット見つからないか? あとジョウとリズは」
「えっと……あ、ジョウ君とリズ見つけた! 二人とも無事みたい。何かの部屋で機械いじってる」
「そうか、それでマクロファッジが動かなくなったんだな。で、コックピットは?」
「うーん……」
マナ達はすっかり迷っていた。極度の方向音痴であるマナが、どこも白い壁で似たような景色の上に複雑なモス・キャッスルの中で、地図一枚を頼りにコックピットにたどり着くのは、やはり無理だった。
さっきからアカネの千里眼の力を借りて視界を飛ばしているが、まだ見つからない。
「どの扉も閉まってて、部屋の中が見えない」
「なんか、それっぽい大きい扉とかないのかよ」
「大きい扉もあっちこっちにあるもん」
「くそー、どうすりゃいかな……」
コッパは地図で指を滑らせながら考えた。各階の地図を見比べていると、同じ場所に同じ形の大きな部屋の表示があるのが分かる。
「あ、コックピットに近いこの部屋! きっと何階かぶち抜いた吹き抜けだ。ここ探せるか?」
「そんな大きい部屋見つからないけどな……」
「きっと扉が閉まってるんだ。この表示を探せ」
コッパは地図にある部屋の名前を指さした。マナは古代文字とにらめっこしながら、視界を飛ばして見比べていく。
「あっ、あった!」
「そこに行こう」
コッパはすぐに地図を丸めてマナの肩に登った。
*
「ジョウ、まだか?」
「終わった。これでマクロファッジは動かないはずだ」
ジョウはそう言って部屋から出ると、リズの操縦するロボットに戻った。
「分離が始まった様子はないよね。マナのやつ、迷ってるんじゃないかな」
「そうだろうな。マナさん探そうぜ」
リズは少し考えてからこう言った。
「いや、コックピットに先に行こう。分離の作業はできるだけ早くした方がいい」
「でも、もしこの区画にジェミルがいたら、ランプがなけりゃ命令を上書きされるぞ? 分離が始まったことが分かったら、コックピットに来ちまうはずだ」
「だから行くんだよ。その方がむしろマナには安全だろ? 区画分離のついでにジェミルをおびき出して、ふんじばっちまおう。こっちにはコイツがあるから、大丈夫だろ」
リズはロボットの操作盤をコンと叩くと、操縦桿を傾け、走らせ始めた。
「あんたはコックピットへの道のり覚えてるよね?」
「もちろん! しばらくこのまま真っ直ぐだ。突き当たったら右へ曲がれ」
ところが、ジョウとリズが乗ったロボットが一本の狭い通路を横切ろうとした時、奥から赤い何かがうねるように襲いかかり、ロボットを壁に叩きつけて大破させた。
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