第109話 ハウからの手紙、マナの旅立ち
小包と手紙。宛名の筆跡は間違いなくハウの物だった。コッパとマナは二人で大急ぎで包みを開けた。何重にも重ねられた紙の中から出てきたのは、あのランプ。
「手紙の方は何て書いてある?」
コッパがそう言うまでもなく、マナは読み始めていた。便箋一枚で、短い。
*
愛するマナへ
今、俺はジャンガイにいる。俺が求められている事は、思っていたものとは違うらしい。何も心配ないとは思うが安全のために、ランプとその設計図、そしてこの手紙を自分より先に君の元へ送る事にした。
次に書く事は、あくまで万が一に備えての事だ。冗談だと思ってくれればいい。
古代の神話では、霊獣の灯を集めた者は、どんな願いでも叶えられるという。マットゥワの灯を手に入れられた君なら、どんな霊獣の灯も、手に入れられるだろう。
このランプを受け取る代わりに、俺の代わりに旅を続けて、君自身の願いを叶えてくれ。約束だ。
ハウ・トーゴ
*
「マナ、本当に後悔しないか?」
「しない」
マナは荷物を詰めたリュックを背負った。その脇にはランプもくくりつけている。
「お前、生まれてから一度もこの村を出た事ないんだろ? 死ぬほど苦労するかもしれないぞ。いいんだな?」
そんな事を聞きながらも、マナの肩に素直に乗るコッパ。
「いい。ハウがいない人生なんて、私にとっては意味ないから」
「古代の神話なんて、本当かどうか分からないぞ?」
「本当だよ。私の手足がそう言ってる」
ハウにもらった靴を履き、マナは玄関の扉を開けた。コッパは手をパンと叩いた。
「よし、行こう。オイラはずっと、お前と一緒だ」
「うん」
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