第72話 仲間を求めて




「ダメだ。連れて行けない」

 運転席に座るリズは首を横に振り、その隣ではジョウが、リズに首を縦に振る。「次はラグハングルに行きたい」と頼んでも、すんなり受け入れてくれはしないだろう、というマナの想像通りだ。


「でも……イッランにいる間は何もなかったし」

「イッラン何もなかったんだ。ラグハングルは陸軍基地が近い。危険すぎるよ。いずれ連れて行くけど、まだ早すぎるね」


「だったら……いつならいい?」


 マナにそう聞かれてリズは困ったように頭を掻いた。時間が経てば安全になる、などというアテはない。いつならいいかなんて、今は分からないのだ。マナも、それを分かった上で聞いている。


 リズは諦めたように息を吐いた。

「分かったよ」

 ありがとう、とお礼を言おうとしたマナの顔の前に、リズが「ただし!」と指を立てた。


「もし軍人が襲ってきたら、あたし達じゃあんたを守れない。ラグハングルの前に、『ロルガシュタット』へ向かうよ」


「ロルガシュタット?」とマナだけでなくジョウも不思議そうにリズを見る。二人とも聞いた事がない名前だった。


「連合国北のはずれの山脈近くにある、小さな村が百以上集まってる場所だ。あそこは、ヒビカさんの故郷。あの人にあたし達と一緒にラグハングルに来てくれるよう頼もう。それと」


 リズは操縦席近くに置いてあった、小型通話端末を手に取った。

「あいつらも呼ばないとね。仲間は多い方が心強い。マナ、それでいいね?」



「うん。行こう、ロルガシュタットに」



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