第13話 旅立ち
「マナ、下のフロントでリンゴのやつ買ってくれ」
「え、あそこで? ダメだよ高いから。適当に八百屋さん見つけて買おう」
朝、マナはコッパがベッドでゴロゴロする傍ら、荷物をまとめていた。
「普通のリンゴじゃない。タルトだ。コーラド銘菓、プロペラリンゴタルト。気になるじゃん」
「んー、いくら?」
「二千三百ギン」
「高い!! 二人分の夕飯買っておつりが来るよ。ダメ!」
荷物を持って、忘れ物の確認をし、部屋を出て扉を閉める。すでにジョウが廊下で待っていた。
「おはよ。なあ、リズ来るかな?」
「おはよう。どうかな……昨日の今日だから、難しいかもね。さあ、コッパ……あれ? コッパ、どこ?」
虹色が渦巻く。宿のラウンジ、リズのリュックの上だ。
「リズ、来てくれたのか。リュックがあるってことは……」
「おはようコッパ。あたしも一緒に行かせてもらうよ。オッカまではね」
「次に向かうのは、まだオッカじゃないみたいだぞ」
「いいよ。あたしも旅を楽しませてもらうから」
「なあ、話は変わるけど、プロペラリンゴタルト買ってくれ」
リズは「ははっ」と楽しそうに笑った。
「さては、マナに頼んで断られたな? いいよ、買ってやるよ。あんたには恩があるからね」
「さんきゅ」
二人が話しているところに、マナとジョウもやってきた。マナは気付くなり「リズ!」とかけよってきた。
「一緒に来てくれるの?!」
「ああ。オッカまでね。よろしく」
リズはマナと握手した後、ジョウにも手を差し出した。
「ジョウ、パンサーのこと、あんたに頼むよ。あたしの飛行機に関する知識は、全部あんたに教えてやる」
ジョウも握手に応じ「よろしく」と一言。少し恥ずかしそうに顔を赤らめている。
「さて、最初に向かうのはオッカじゃないんだろ? どこだ?」
マナは地図を取り出した。
「宝石砂漠って知ってる?」
「聞いた事あるね。純粋な宝石の砂でできてる砂漠だろ? 夜になると月明りで地面が七色に輝くっていう」
「そう。そこに、宝石の鎧をまとったサイがいるの。目指すは宝石と月の街、アルラディーン!」
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