赤いスマホ

スマホ、それは私の命。

私はこれが無かったら生きていけない自信がある。

ていうか、生きていけない。


スマホ依存なんてもんじゃない。

【我スマホと共にあり】だ。

なんなら私の方が付属品である。


1にスマホ2にスマホ、34はその他とスマホで5にスマホ。


私の生活リズムはそんな感じだ。


別にネット依存とかそんなんじゃない。

ただ、私の命はスマホにかかっていると言うだけで。


まず私の1日はスマホに起こされるところから始まる。

そして引き出しからクリーナーを取り出しスマホを綺麗にする。


綺麗にしながら私は今の自分の体の調子をスマホで確認する。


ー異常なしだな。


確認方法はいたって簡単。

スマホの色を確認するだけ。


スマホは真っ赤で、それは自分の心臓の調子を表している。

真っ赤なら調子が良い。

少し黒ずむとちょっと危ない。

さらに黒ずんでくると即病院行き。

そして黒になる時には、私はこの世にはいない。


幼い頃から付き合っている病気はどうやらめんどくさいらしく、私は常にそれ専用のスマホで体の調子などをデータで観測し、病院に送ったり、記録したり、色々している。

まあ、データに関してはそれはそれは優秀なスマホくんが勝手に色々してくれるから私は何も知らないのだが。


そんな心臓と直結した赤いスマホは小さい頃からの付き合いなのだが、今日は妙に調子が悪かった。


妙に起動が遅かったり反応が鈍かったり、急に画面が真っ暗になったり。


初めて見るスマホのそんな様子に気味が悪くなった。

それでもスマホはちゃんと綺麗な赤で心臓に関しては無事なことが分かる。


しかし、妙な不安を覚えた私はベッドから立ち上がり一階にいるであろう母を呼ぼうとした。


しかし。


急に視界が真っ暗になり、そのままベッドに倒れ込んだ。


暗くなっていく視界の端で見たのは、徐々に黒く染まっていくスマホだった。

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