エキセントリックな教室


とある町中にそびえ立つマンモス校、紗来(さらい)高校は各学年20クラス、A組からT組まである。しかし、年度によっては稀にU組が設置されることがあるらしい。


そんな伝説のU組が、今年、設置されることになった。





「ど、どうしよう……な、なんで私がU組を持つことになったのかしら……」


新採用で紗来高校が初めての職場である東 美里(あずま みさと)は職員室で一人頭を抱えていた。


「うーん…話によると特別クラスってことだけどねぇ…。」


隣で同じ学年の担任で、この学校の古参でもある西川もよく分からないと首を傾げる。


「特別支援…みたいなものですかね?」


西川の逆では東と同じく新採用の古南もまた首を傾げる。


「U組に関しては、我々も全く聞かされてないからなぁ…こんな事があるのか私も分からんからなんとも言えんが……まぁ、頑張ってください、東先生。」


学年主任の北中は難しい顔をして唸り、ため息をついて諦めたかのように東の肩をポンポンと叩いた。


「はぁ……私の教師人生がぁ……」


東はガンと机に頭をぶつけて項垂れた。




改めて生徒達と顔を合わせた東はその生徒数の少なさに驚いた。

そして彼らの性格にも、ド肝を抜いた。


「え、と…み、みなさん初めまして、私の名前は…」

「東 美里、性別は女、この学校が初めての職場、いわゆる新採用、彼氏いない歴=年齢なtheゆとり世代…性格はネガティブ」

「え〜!彼氏いないのー!?先生かわいーのにー!私がお嫁さんに貰ってあげるよー!」

「バーカ、こんなかわいーセンセーは俺が口説くんだよ」

「……ふっ…」

「皆さん、静まりなさい、先生に迷惑です。」

「ふふふ、皆さん元気ですねぇ〜」

「わーい!センセー!センセー!めっちゃわっかいネー!!ヨロー!!!」

「はわわ、みんなぁ、しずかにしようよぉ…」


あっ、私これホントにムリかも…。






東美里、23歳。

初めて担任を持つクラスの生徒数は8名。

全国的にもずば抜けた頭脳をもつがしかし個性的すぎる生徒を集めた1-Uの担任を持つことになった。


入学式当日から胃腸薬とお友達になるなんて、思ってもみなかったが、なんとかやっていきます。


南無阿弥陀仏。

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