ゆとり世代のイワシ

どうやら、僕はイワシらしい。

よくわからないが。


よくわからないが、お前はイワシ頭だ、とよく言われるのだから、確かに僕はイワシらしい。


いや、正しくはイワシの頭なのか?


まあ、いい。

とにかく僕はイワシなのだ。


しかし、その言葉には頻繁にとある言葉がついてくる。


「これだからゆとり世代は…。」


イライラしたように吐き捨てられる言葉を聞き流してとりあえず頭を下げる。


「すみませんでした。」


とりあえず、これで収まってくれるだろう。

そう思っていると先程渡した資料を突き返される。


一つ礼をして資料を抱えてデスクに戻る。



ゆとり世代のイワシ。


それがどうした。



言いたければ言っていればいいんだ。

どうせいつ辞めることになるか分からないこんな会社だ。

一人生活出来るだけのお金だけが目当てにここにいるだけだ。


「おい、山下。今日、飲みに行くんだが一緒にどうだ?」

「あ…今日は遠慮させて頂きます…。すみません。」

「そうか…じゃ、また今度な。お疲れ様。」

「お疲れ様でした。」


職場の飲み会なんて、誰が行きたいんだろう。

家で一人で飲んでいるほうがよっぽど気が楽じゃないか。



「あー…ボーナスまだかなぁ…。」


一人電車に揺られながら外を眺める。

夕暮れに光る街が自分には眩し過ぎて、そっと目を逸らした。

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