不気味な舘
「嘘…」
「…これは…やばいね…」
学校の裏にそびえ立つ不気味な館、そこはとあるウワサがある。
「誰が考えたの…こんな肝試し…」
「……とりあえず早く終わらせよう。」
誰が言ったのかは分からないが、確かにそんなウワサがある。
「……手、握っていい…?」
「…う、うん。」
片想いの相手と肝試しをすると、その片思いは結ばれる。
「不気味な館」
きっかけは、あいつの一言だった。
「なぁ、祐也、肝試し、やろーぜ!」
「はぁ?」
腐れ縁でずっと一緒にいる紘史のヤツが急に思い立って、急に企画したことにより、唐突にクラスを巻き込んだ大きな肝試し大会を開くことになった。
俺はいやいや参加させられたが、アホのくせに人脈の広い紘史が企画したおかげか、無駄にたくさんのクラスメイトが参加した。
その中には、ずっと片思いしている、彼女もー
「おぉい、祐也〜!なぁにシケたツラしてんだよぉ。
ホラ、お前が前川さんに見惚れてるあいだにくじ引き終わっちまったから、お前の分。」
「重いから肩組むのヤメロ。」
「おやおやぁ?そんなこといっていいのかなぁ?」
「は?」
「前川さんは、三番らしいぜ」
「…だからなんだよ。」
「これ、四番のクジなんだけど?」
「……は?」
「主催者特権ってやつー?ま、せーぜー頑張れよー、お前は5分後出発な!」
「あ、ちょ、紘史!!」
行ってしまった…。
…ま、いつものおちょくりだろ。
そう思いクジを開くと四番。
少し心が踊ったが、冷静になる。
待て、前川さんが三番とか、どうせ、デマだろ。
「ね、ねぇ、祐也くん…?」
「…ん?なに、前川さん。」
「…う、ううん、何でもない。」
「…そ、そっか…」
……な、なんなんだ、この状況…。
なんで前川さんと二人きりなんだ……。
紘史のやつ……マジで言ってやがったのか…くそ…
「お、御札があるんだっけ」
「あ、うん。確かあの一番奥の部屋だったかな」
「そ、そっか、じゃあ、急いで行こ…きゃっ!?」
「あっ…ぶない…!」
反射的に腕を出す。
「前川さん、大丈夫?」
「う、うん…!だ、大丈夫…!」
「よかった……あ、ご、ごめん、勝手に触っちゃって…」
「う、ううん、こちらこそ、支えてくれてありがとう…」
思わず腕を出して抱きしめてしまった。
顔を合わせれずそのまま奥の部屋まで歩いていく。
チラリと見た前川さんの横顔は、少し赤く染まっていた様に見えた。
「ここに、御札があるはずなんだけど…」
「あ、これじゃない?」
「ほんとだ、えと…1人1枚だっけ?」
「うん、確かそうだったはず…。はい、コレ。」
「あ、ありがとう。」
ピラリと紙を月明かりに透かしてみる。
すると、デカデカと「ミッション」と書かれていた。
「「目の前の相手に一つ秘密を打ち明けよ…?」」
その後、館から出たあとに謎の大歓声に包まれたのは、今でも思い出したくない恥ずかしい思い目の一つだ。
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