新種のイヤホン

「今日のニュースをお伝えします。昨日、現地時間17時頃、イギリスのNHBCU大学で新種のイヤホンの論文発表がありました。」


寝ぼけまなこを擦りながら眠気覚ましにコーヒーを煎れ、熱いカップを片手にテレビを付けた。

しかしテレビをつけた途端に視界に飛び込んだそんなニュースを見て、私はコンマ数秒固まった。


なんだって?


新種のイヤホン?


私の聞き間違えだろうか。

いや、しかしテレビの右上のテロップには確かにイヤホンと書かれている。


「新種のイヤホンはアマゾンの奥地で発見された模様で、第一発見者は現地の人間だと言うことです。」


自分の耳を疑った。


なんだ、これは何かのバラエティ番組だろうか?

新種のイヤホン?発見された?アマゾン??


朝からとんでもない不意打ちを喰らった。


とりあえずコーヒーを啜る。


…苦い。


目はとっくに覚めているハズなのだが、妙に頭がパッとしない。


また、その熱い苦い汁をそこそこの勢いで飲み干す。


…苦い。


舌もヒリヒリしているが、頭はなかなかスッキリしない。

むしろ時間が経つにつれてゴチャゴチャしてくる。


そんなことをしている間にも世紀の大発見だというそのイヤホンの新種についてスタジオでやけに毛の薄い難しい顔をした大学の教授と笑顔のしたではきっと理解出来てないであろうアナウンサーが話し合っている。


「教授、改めておうかがいしたいんですが、イヤホンというのはどういたものなんでしょうか?」


「はい、そうですね、イヤホンというのは、正式名称をイヤーホロンダという耳の形によく似た微生物なんですが…今回はそれの新種が発見されたということですね。」


「なるほど…では…」


私はアナウンサーの次の言葉を聞く前に立ち上がって舌を冷やすために洗面台に向かった。

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