第4話 体育祭

 これは、とある男子高校生の体育祭の時の話である。


 俺は物心がついたときから身長は高いほうで、足が長い分もあるのか、足は速かった。

 足が速いと、小、中学校では必ずもてる部類にはいるらしいのだが、一切そんなことはなかった。


 俺は、体育祭で、足が速いことを理由にリレーの選手に選ばれてしまった。そんなに自分に自信があるタイプでもなく、目立つことは殊の外嫌いな俺は、本番前には緊張する。だから、リレー選手に一番大切なことだけを心掛けていた。それは、転ばないことだ。


 先に女子のリレーだった。俺のクラスからは、クラスの女子のヒエラルギーのトップに君臨している親分系女子が選ばれていた。思いのほか背が低かったので、あれで速いのか、少し疑っていた。

 しかし、走り出すと、ピッチ走法で足を運ぶ速度が速く、順位が期待できそうだった。そいつを見直し、(俺も頑張るか!)そう思った時だった。



 そいつは、派手に転んだ。



 俺は、難なく一人抜きをしたが、たいして良い順位でもなくリレーは終わった。


 一位になったリレーチームが、雄たけびを上げ、浮かれているわきで、親分系女子のそいつは、一人でしぼんでいた。

 (責任感じてんのかな~)と柄にもなく、少し同情してしまった。自分はうまくやったという自負が、俺を少しうぬぼれさせていたようだった。そして、柄にもなく声をかけたのだった。


「大丈夫だった?でも、けっこー足、短いじゃん!」




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