第6話 鳥という存在。
猫だけど、猫じゃないから、猫語じゃないのか?
日本語と認識して日本語で会話をした、筈だけど違うのか?
転生チートとかいうものが仕事をしてるのだろうか。でも噂の真っ白空間にも行ってなけりゃ神様なんていう至高の存在にも会ってないっての。
自分も世界も何にもわからないんだもの。というか困ってないから良いのかそうかそうだねまあいっか。だって会話できてるんだし。
水の妖精さんからもらった水で喉を潤したあと私はまたどこかへ向かって歩くことにした。鳥食べたい。その一心で。
「ばいばーい」
「また会うのだからですわ!」
また会おうってことかな。水の妖精と別れて私は歩く。壁を見つけるとその辺の岩や木を足掛かりにしてまた上る。
なんでかってそりゃあ高いところは気分が良いから。同じ方向へ歩くのでも高い方が良いということなのだ。
しばらく歩いて羽ばたいて進むとやがて微かに鳥らしき声が聞こえてきた。
鳥肉キターーー!
喜び勇んで壁を蹴る。その先に足はつかない。でももう慌てはしない。せっせと猫かき羽ばたき鳥肉を目指すのだ。私の鳥肉!
前方に
「いっただきにゃー…?」
手頃な大きさで羽があって美味しそうな、でもおかしいな?これ、鳥なのか?
小さいけれど鋭く肉を切り裂く犬歯、猫なのに犬歯(笑)、でかぶりつこうとしたのだけどハッキリと視界に納めたその生き物に私は首を捻って一瞬躊躇した。
二枚一対の翼を持ち、くちばしがあって、足が獅子みたいに太くて、尻尾がにゅるっと蛇なんですけど。
小さくて手頃な獲物と思ったけど、鳥じゃないよね、コレ…。
「ピ」
鳴き声は可愛い小鳥さんで、はい、もう食べれない。
つぶらな瞳がまったく愛らしい。でも尻尾の蛇がぎらっと私をにらんでいる。
無理です。私爬虫類ダメって方じゃなかったけどこれを食べようとは思えない。混ざりすぎだよ。普通の鳥が良い。鶏プリーズ。いやひよこで良いから。卵でも可。
私が食欲を失ってる間に鳥だかキメラだかよくわからない生き物はプピッと捨て台詞を残して去っていった。
彼(?)はしゃべらない生き物だったみたい。うん。しゃべる生き物もきっと食べれないなぁ。私って結構好き嫌いがあるのかも。
考えながら目の前を横切った羽虫をつまんだ。これは飴ちゃん。レモン味。私まさかの昆虫食に目覚めそう。だって美味しいんだもの。だんだん抵抗がなくなってきた。不可抗力だよ。
ああでもやっぱり鶏肉が食べたいなあ。親子丼も照り焼きチキンも大好きだしケンチキなんてご馳走で。あっコンビニのからあげちゃんとかうまうまだよね。
………神よこの世界に普通の鳥はいないのでしょうか。
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