第3話 情けは人のためならず
「おいおい、
「それは違います!」
それはとある休み時間のことである。
クラスの問題児、
その会話を耳にしたクラス一の美少女、
「……えーと、は、橋姫さんっ。俺、何か間違えました?」
橋姫に話しかけられ、竹河は嬉しそうに聞き返す。
「情けは人のためならず、めぐりめぐって
「「?」」
東屋と竹河は顔を見合わせ、ぽかん、としている。
「あのですね、情けは人のためならずとは、人の為にならないからダメ、ということではなく、人の為ではなく自分の為ということです。先行投資に似ていますかね?」
絵画のような微笑みの橋姫。
見ていると心が
「ねー、ねー、松ちゃん。橋姫ちゃんだってこう言ってるわけだし、見せてよ」
「……んー、しょうがないなぁ」
竹河はしぶしぶ東屋に宿題を見せることにした。
放課後、東屋が橋姫のもとに駆け寄ってきた。
「橋姫ちゃ~ん♪ ホントに、ありがと! 今日、宿題やってなかったら居残りになるとこだったよー。これも橋姫ちゃんが松ちゃんを説得してくれたおかげだね」
ハイテンションの東屋は感謝の気持ちを全身で表している。
だが、橋姫はいまいち意味を理解してないようだ。
「だからさ、一緒にここ行かない? 割引券持ってるんだ」
そう言って東屋は最近できたケーキ屋のクーポン券を見せた。
「こ、これは『パピヨン』の割引券⁉ 行きます! 行きたいです!」
予想外の食い付きに東屋も戸惑ってはいたが、二人仲良く向かったようである。
こうしてみると、橋姫さんの誤用を正す行為は情けは人のためならずの精神がなきにしもあらずなのかもしれない。
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