第2話 家族

普通の家族に私はあこがれている。たまに厳しいことも言うけれど、基本優しい父と母、しっかりした姉に少し抜けてる妹のような。ラノベでよく見るヘタレな姉としっかりした妹でもいい。笑顔が絶えない家族なんて素敵である。ご飯時には家族みんなで集まり、その日にあった出来事を話し、一緒にテレビなんかを見て。

しかし現実はこうだ。優しい父と過保護で厳しい母、自信はないがプライドが高い自分に、アホでその上優しすぎていつも苦労を背負う妹。家族でご飯を食べるのは外食の時とお盆と正月だけである。家族の会話も少ない。私と妹は部屋にこもりがちになり、食事とお風呂、学校に行く時くらいにしかリビングへ行かない。父は母がいるところでは何も言わず、あとで私に愚痴をこぼしてくる。母は仕事から帰ってくるなり怒り出し、永遠に愚痴をこぼし始める。こんな息苦しい家族は嫌いである。


私の家族には、暗黙のルールがある。子供はお金の話をしない。母の機嫌を損ねない。父の一人の時間を邪魔しない。母にはたてつかない。これらを守ることで私の家族は幸せを保てるのである。もしかしたらこんな家庭はどこにでも存在するのかもしれない。もし他の人もこんな家族の中で生活しているのなら、私だけがつらいわけじゃない。耐えれば幸せになれる。私はこの決断に至った。


しかし、大学生になった私は「ルールというものは破るためにあるものだ」とどこの誰が言ったのかわからないが、実際にそんな目に見えないルールに従う必要はないと思い始めた。このルールに従って得をするのは主に母である。私の中にある考えが生まれた。私の家族で一番の権力者は父。父に決断させれば母は口答えできないと。

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