状況その4

 ………………。これ、龍野君の気配ね。

 けど、どうしてくれるのか興味深いわ。もう少し寝たふりを続けて、様子を見ましょうか……。

 んっ、布団を捲られた。静かに私の果実を摘み取ろうとしてるんだわ。慣れた手付きね。けど、まだ我慢よ、私。龍野君を止めたくないのならね。

 じっくりと味わってる……こうしてくれるだけで、ここまで育てたかいがあるってものね。ありがとうございます、お母様。

 けど、飽きてきたのかしらね。あるいは、直に味わおうとしている?

 なんてけだものなのでしょう。けど、龍野君はそうでなくちゃね。

 私を静かに横たえて、ドレスの紐を解こうとしてる。けど、そろそろ覚えてほしいわ、貴方への『合図』。

 結び目を一つ解くことは、『いいよ』ということだもの。いつまで経っても、そこだけは鈍いのね。けど、その不完全さが愛しいわ。

 そろそろ、いいかしらね。

「ん、龍野君?」

 ああ、やっぱり焦ってる。

 たっぷり、背徳感を味わってもらったわね。

「やっぱり、その手付き……龍野君よね」

 ああ、ゾクゾクしちゃう。動かぬ証拠を突き付けられた、相手の顔は。

「やっぱり、緩んだ結び目に気がついてくれたのよね。いいわよ、そのまま続けて」

 けど、私は受け身が好みなの。相手を追い詰めて快楽を得るのは、別の人にあげるわ。

「どうしたの? 私に手を付けたんだもの、お残しは許さないわよ!」

 さあ、どうくるのかしら――きゃっ!

「あんっ。そうそう、その勢いでいいの」

 さて、挑発はいい感じに効いてるわね。

「もう、手加減なんてしないでいいのよ?」

 本気になってくれるかしら? いえ、心配は無用みたいね。

 何せ、遠慮会釈無しに邪魔なものをどけているのだから。

「そうよ、邪魔なものは全て取り払ったわ。ここからよ、貴方が本領を発揮するのは」

 後はそのまま、じっくりと私を味わうだけよ。

「きゃっ……! いよいよ、摘み取られるって訳ね……?」

 いよいよ、ね……。今が最高の状態よ、龍野君。

「…………! んっ、遠慮しないで、ね……?」

 ええ、遠慮なんていらないわ……!

「ふあぅ、相っ、変わらずっ、激しいんだからっ……!」

 容赦なく、貴方の望むことを、望むままに、してっ!

「んっ、ふあっ、ああっ、らめ……!」

 やめないで、そう、そのままっ……!

「あんっ、何で、こうっ、的確……なの?」

 いつもやってるんだから、当然と言えば当然、なんだけどね……!

「はあっ、待って、そろそろ、限界……っ!」

 貴方の好きなように…………っ!

「んんんっ!」

 けど、まだここで満足しちゃ、駄目っ!

「次は、龍野君の……!?」

 そうよ、遠慮を捨てたわね、龍野君!

「ふあっ、ああああっ!」

 ああ……心臓のように脈打って、一回ごとに私に刻み付けて……。

 幸せって、こういうのも含めるんだろうな……。


 体感で一時間程、こうしてたんだろうね。

 よしよし……私の愛しい、龍野君。

「ん……ご馳走様」

 最高だったわ、龍野君。

 これからも、ずっと、よろしくね。

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