状況その3

 いつものように、ヴァイスの部屋に忍び込む。

 ベッドの上には、気持ちよさそうにヴァイスが寝ていた。

「(さあ……その果実、摘み取るとしよう)」

 布団を静かにどけ、ヴァイスが携える二つの果実を静かに揉む。

「(流石に……この程度じゃ、反応無しか……)」

 だが、極上の甘さだ。ヴァイスが俺の為に育ててくれたこの果実、じっくりと味わうだけだ。

「(それにしても……桁違いの柔らかさだな……)」

 ヴァイスは未だに静かだ。だが、そろそろドレスが煩わしい。

「(このまま脱がすのは難しいな……なら、何とか寝返りをうたせるか……)」

 静かにヴァイスを転がす。このベッドは特別広い、二転三転側転してもまだ落ちない程度には。

「(よし、なんとかなったな……ん、あれ? 紐が解けてる?)」

 おかしい。普段ヴァイスは、結び目一か所すらきっちり締めているはずだ。

「(まあいいか……)」

 最初の紐を、慎重に解く。

「ん、龍野君?」

 マズい。バレたか!?

「やっぱり、その手付き……龍野君よね」

 ああ。終わった。

「やっぱり、緩んだ結び目に気がついてくれたのよね。いいわよ、そのまま続けて」

 え?

「どうしたの? 私に手を付けたんだもの、お残しは許さないわよ!」

 そこまで言うなら……!

「あんっ。そうそう、その勢いでいいの」

 さて、挑発してくるこの姫様をどうするか……。

「もう、手加減なんてしないでいいのよ?」

 オッケーオッケー、だったら遠慮なく頂いちまうぜ!

「そうよ、邪魔なものは全て取り払ったわ。ここからよ、貴方が本領を発揮するのは」

 その通り。不必要なものは脇にどけた。後はそのまま、じっくりと果実ヴァイスを味わうだけだ。

「きゃっ……! いよいよ、摘み取られるって訳ね……?」

 ああ、そうだ。だからこそ、最高の状態で収穫したかった。

 けど……この様子を見るに、心配は無用ってもんだな!

「…………! んっ、遠慮しないで、ね……?」

 誰が遠慮なんてするかよ……!

「ふあぅ、相っ、変わらずっ、激しいんだからっ……!」

 さて……ここまで冷静さを欠かせたんだ、ならその責任は取れよ……?

「んっ、ふあっ、ああっ、らめ……!」

 ダメとかやめてとか、もう聞いてらんねえんだよ……!

「あんっ、何で、こうっ、的確……なの?」

 知るか。敢えて言うなら、毎日練習したからだよ……!

「はあっ、待って、そろそろ、限界……っ!」

 それじゃ、きっちり導いてやりますか……ね!

「んんんっ!」

 おいおい、我慢かよ。ここに来ておあずけかよ、畜生。

「次は、龍野君の……!?」

 おあずけの代償だ、遠慮しないぜ……っ!

「ふあっ、ああああっ!」

 まずい。これ、加減できない……。


 体感で二十分程、こうしてたんだろうな。

 ヴァイス、しっかり俺の頭を撫でてやがる。

「ん……ご馳走様」

 おいおい。礼を言うのは、こっちだよ。

 全く、こんなのが毎日続くのか……。最高だな。

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