本編(二日目)
二日目 1/5
「おはよー」
「おはようございます」
リビングに集合した全員は、互いに挨拶を交わす。
「(このようなことこそ、私の望みだったのかもしれないわ……)」
一人感慨に耽るシュシュ。
「ねえねえ」
すると、声がかかった。龍太だ。
「何かしら?」
「どうして、百合華お姉ちゃんは来れなかったの?」
「勉強を、一生懸命にしているからよ」
「えー! お姉ちゃんがよかった!」
「あら、お姉様が好きなの?」
「!」
不意打ちぎみのシュシュの質問に、顔を真っ赤にする龍太。
「おいおい……あんまり、いじめてやるなよ、シュシュ」
そこに龍野が止めに入る。
「何のことですの? 私は純粋な疑問から質問を投げかけただけですわよ」
「お前……悪びれないな」
嘆息する龍野。
「みんな、出来たわよー」
かぐわしき朝食の香りを伴い、リビングに響いた紗耶香の声。
「さて、配膳手伝うぞ! 睦月、須王家の一員なら手伝ってくれ!」
「わかりましたわ!」
全員の流れるような共同作業で、配膳は一分で終わった。
「よし、せーのでいくぞ。せーの……」
「「いただきます!」」
「「ごちそうさまでした!」」
朝食を終え、再び流れるような共同作業で、片付けを十分で終えた。
「さて、お前らに言う事がある」
「何?」
疑問の声を投げかけたのは皐月だ。
「昨日、りんごゼリーを巡る喧嘩があった。幸い今は無事解決し、喧嘩した当人たちも仲直りしているんだが……」
「「…………」」
俯く龍野とシュシュ。そりゃそうだ、何せ当事者なのだから。
龍範は構わず続けた。
「何が言いたいかというと、我が家の食材は少なくなっているということだ! よって、今日『クレイドル』に買い出しに行く!」
『クレイドル』とは、須王家から車で十~十五分ほどの距離にある大型ショッピングモールである。
「今から一時間やる! 全員支度を済ませ、玄関集合だ!」
「「はい!」」
まるで軍隊である。
龍野とシュシュは、一直線に歯を磨きに行った。
四十五分後。
龍野が自室で着替えを終えた途端、シュシュが入ってきた。
「何だ?」
「兄卑……あのね、お願いがあるの」
「言ってみろ。まずは聞いてやる」
「三日間だけ、本当の妹にしてっ!」
「どういうこった!?」
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