番外編…心肺蘇生法
今回は……抜粋元である「カラードの乱~黒人武芸者の革命譚~」の公開エピソードの都合により、番外編でお送りします。いざと言う時に便利、日常でも知っといて損は無い。そんな心臓マッサージによる蘇生術についてです。
抜粋パートの前に、心臓マッサージを含む蘇生術の重要性でも書きましょう
※心臓マッサージの必要性
心停止が起こると、救命の可能性(救命率)は時間とともに低下します。ですが現場に居合わせた人が救命処置を行うことで、救命率がある程度維持されます。また、救命処置を開始するまでの時間が早いほど、救命確率は上昇します。
☆抜粋パート
一目見れば死んでいるのがわかる。しかしアリシエはその現実を受け止めたくなかった。何度も呼びかけるが、返事は聞こえない。身体を叩いても、
「風牙さん、起きてよ!」
両手を重ねて心臓の真ん中に置いた。周りの状況も確認せずに一定のリズムで心臓を強く圧迫する。血で赤く染まった唇に息を吹き込んだ。何度も蘇生措置を繰り返した。だが風牙の身体が自発的に動くことはなく、これらの動作の反動で僅かに揺れるだけ。
(「12-2 忘れたかった記憶」より抜粋)
【解説】
救命処置にはいくつかステップがあります。順番に書いていきます。
①安全確認
現代で例えるなら、道路みたいな危険な場所でないかの確認、ですね。倒れている人、救命処置を行う側、共に身の安全の確保が必要です。
抜粋パートではアリシエさん、安全確認忘れてます。これは余裕がなかったから、ですね。皆さんが現実で行う時は是非、冷静になって安全確認してください。
②意識確認
有名なのは「肩を叩きながら大きな声で呼びかける」ですね。ここで返事があれば意識があるので気道確保の必要がありません。もし応答がなければ、気道確保をしてください。
※気道確保
相手が仰向けになった状態で行う。手であごの先をあげることで気道確保が出来る。これをしないと、舌で気道が塞がってしまう
③呼吸確認
胸部、腹部の動きで呼吸を確認してください。「呼吸無し」または「異常な呼吸」なら心停止と判断し、心臓マッサージを行います。
余談ですが、異常な呼吸というのはしゃくりあげるような不規則な呼吸のことを示すことが多いです。また、判断に自信がない場合は速やかに心肺蘇生を行うことが推奨されています。
※心停止でないなら、心肺蘇生法で何らかの反応を示す
④心肺蘇生法(胸骨圧迫、人工呼吸)を行う
胸骨圧迫
圧迫部位は胸の真ん中のやや下の位置。
利き手と反対側の手の甲の上に、利き手の手のひらを重ね、重ねた手の付け根の位置で圧迫します。(乳児なら指二本)
深さ、テンポは今回は割愛。ここで大事なのは「強く」「絶え間なく」「迅速に」です。迅速に胸骨圧迫を始めてください。
結構きついです。体力が必要ですし、二分もやれば息切れしてきます。一人で長時間行うことはオススメしません。胸骨圧迫の質が下がります 。代わりの人がいるなら交代で行ってください
人工呼吸
こちらは無理ならしなくても大丈夫です。なるべく訓練した人、行う意思のある人が望ましいです。
一回の吹込みには一秒間かけ、倒れている人の胸があがることを確認できる量を目安にします。
これは結構難しいです。首を反らせて口から息を吹き込むのですが、上手く入らない。息を吹き込んだとして、胸が上下するかとなるとこれまた微妙です(私は練習でも実際でも上手くできなかった)。吹き込む息の量はわりと多いです。
胸骨圧迫と人工呼吸を繰り返します。胸骨圧迫30回につき人工呼吸2回、でワンセットです。現代であればこれを、救急隊員またはAEDが来るまで続けます。
AEDがない時代は近代ですと胸骨圧迫と人工呼吸だけ、もっと前ですと逆さ吊りやら鞭打ちやら……。抜粋パートではAEDがないため、胸骨圧迫と人工呼吸のみにしてます。
是非心肺蘇生法は調べてみてください
授業や講習を受けてみてください
練習しておくといざと言う時に役立ちます
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