クナイと忍刀のこと、誤解してない?
今回はクナイと忍刀……正確にはクナイと、忍刀をモチーフにした隠し剣、ですが。それについて話そうと思います。そんなわけで、タイトル書くのが面倒な抜粋パート!
アルウィスさんは主人公。男性はクナイ、忍刀っぽいやつ、を扱う武芸者になります。
☆抜粋パート
少しの間迷っていたが、男性は三本目のクナイをアルウィスに向かって投げる。しかし投げた先にアルウィスはいなかった。男性の指先の動きを見てクナイが飛ぶのを予測し、男性の右隣に素早く移動したのである。
アルウィスの接近に驚いた男性は、体勢を立て直すためにアルウィスとの間合いを取る。そして黒装束の下に隠していた剣を鞘から抜いた。一呼吸置いてからアルウィスに突進して斬りかかる。だがその斬撃は難無くかわされた。
(「1-3 ラクイア大聖堂にて」より抜粋)
【解説】
それでは、抜粋文に出てきたクナイと剣について語りたいと思います。
①クナイ
抜粋文では敵の
壁や地面に穴を掘る
壁などを登る際に足場として利用
円状の内部に水で膜を張ってレンズの代わりにする
木を削る
扉を止める楔として使用
などなど、挙げればキリがないです。「サバイバルナイフのような装備」と考えてください。これ一本あるだけで様々な場面で応用できる、優れものになります。
余談ですがここで一つ、武器としてのクナイの説明でも。実はクナイには、日本刀のような純度の高い鉄が使われています。このため、手裏剣のように使い捨てにするにはもったいないと考えられていました。このため、クナイを武器として使う際には少し工夫していました。
柄尻の輪に縄や紐を通し、振り回して使う。または逆手に構えて刺突武器として使う。「飛びクナイ」と呼ばれる小型のクナイは実際に手裏剣のように用いることもあったそうですが、投げることはかなり少なかったようです。また、投げる時には紐などをつけて、すぐに回収出来るようにしていたのだとか。
そもそも忍なら「なるべく戦闘を避ける」ことに重きをおいて行動します。なので、戦闘は必要最低限なのです。
さらに意味が無いかもだけど抜粋文についても説明。上記で説明したのはあくまでも「実際の忍者のクナイの 使用法」になります。抜粋文ではただの武芸者なので、あえて忍とは違う使い方をさせている、というわけです。
おまけ情報として。クナイは万能ナイフ・万能スコップ扱いだったので、民間人も持ち歩いていました。武器として使用していたのは限られた人だけだそうですが、そうそう使いません。クナイを実際に投げていた人は……数える程しかいないと思います。ファンタジーならここはアレンジの要素がありますね。
ちなみに、クナイと共によく知られる手裏剣は、実際には結構かさばるので二、三枚しか持ち歩かなかったそうです。投げるのも「相手を怯ませる」のがメインでして、逃走する時などに使います。よく漫画とかでは誤解されがちですが。
②忍刀
こちらは題材にしてはいますが、「実在するかわからない」と言われています。抜粋文では剣にしてありますが、忍刀とほぼ同じです。というわけで、実在するかわからない忍刀の特徴を箇条書きしていきます。
反りが少なく、直刀に近い
刃渡りが短い
この二つが主な特徴です。
ここまではよく知られている方の忍刀。実際は、この長さでも潜入に不向きとされています(諸説あります)。そのため、いざという時に備えて持ち歩いていたのは刀は刀でも短刀の方だった、という説もあるのです。どちらにしても殺傷力は低いですね。短刀に関しては「いざという時の自決用」とする説もあるのですが……私としては短刀が現実に一番近い気がします。
そんな忍刀、どう装備していたかご存じですか?
よく刀を背負うキャラが描かれると思いますが、あれはあり得ません。背負うと狭いところに入る時邪魔になるからです。実際には侍と同じように腰に差していた(直刀の方)、装束のポケットなどに隠していた(短刀の方)とされています。また、余程の危機の時にしか使わなかったそうです。
誰も必要としてないかもですが抜粋文も少し解説。剣にしたのは、この国のモチーフは西洋で、刀などの文化は比較的新しいという設定があるからです。逆に言えば、西洋が舞台でも剣を隠し持つことなどは出来ますので、忍の戦い方を応用することも出来ますね。よかったら参考にしてみてください。
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