人体の急所ってどこだっけ?

 今回はタイトル通り、人体の急所について解説しようと思います。急所と言っても部位によって多少違います。例えばわきの下だったら、深く切られれば大量出血するでしょう。鳩尾みぞおちを強く押せば、相手は激痛に襲われるでしょう。


 そんな、急所の部位ごとの解説をしようと思います。が、その前に! わかりやすくなるかわからないけれど、毎度恒例の抜粋文です。タイトルは長いから書くのやーめた。原作気になる方は……あらすじにリンク貼ってあるからそちらからでもどーぞ。


 アルウィスは体術を扱う者、ダンは護衛対象、と考えてください。今回の抜粋文は「下顎したあご」という急所を狙ったものです。私は高確率で下顎を狙わせます(手抜きじゃないよ)。これはモチーフにした東洋の武術ではよく狙われる急所だからだよ!



☆抜粋パート

 アルウィスは休む間もなく、一気に武芸者の懐に入り込む。左拳はその下顎を狙い、口にくわえたままの短剣は首筋を狙う。間髪入れずに攻めたのは、武芸者にダンを攻撃する隙を与えないためだった。大鎌はその柄の長さから、中距離での戦いに向いている。欠点は大鎌を振るう時に隙が出来てしまうこと。


 休まずにすぐ攻めることで、武芸者からダンを攻撃する余裕を奪った。さらに、自らが懐に入って武芸者の身体を強く押し、武芸者の身体を一歩後退させる。それは、ダンを大鎌の攻撃範囲から出すための苦肉の策。アルウィスに押され、武芸者は宮殿を囲む壁に押し付けられる形となった。その状態で、アルウィスのくわえた短剣が武芸者の首にあてがわれる。


 下顎を襲われた武芸者は、その拳によってのう震盪しんとうを引き起こして気絶。大鎌が武芸者の手から離れ、派手な音を立てて地面に落下した。武芸者二人を倒したことを確認すると、アルウィスの身体がその場で地面に崩れ落ちる。左手が、右腕の傷口を抑えた。

(「3-3 奇襲は突然に」より抜粋)


用語解説

※脳震盪

 最も頻発する外傷性脳損傷のこと。「衝撃により脳が揺れる」ことが原因。主な症状は、頭部に衝撃を受けた直後に発症する「一過性および可逆性の意識や記憶の喪失を伴う」症状。


 現代ではアメリカンフットボールやボクシングなどで起きる症状として知られている。一番有名なのはボクシングでの脳震盪によるKO。何度も脳震盪を起こすことは、身体にとって良くないよ。





【解説】

 抜粋文は下顎を攻撃した時に起こる脳震盪について書いたもの。まぁ、間に余分な文があるのは許してて。ボクシングでよく見られるダウンは軽度の脳震盪で、重度の脳震盪だと意識回復までに時間がかかるんだ。それじゃ、急所を列挙していこうかな。




①頭部(今回は首まで含む)

※こめかみ→頭の両側、目尻と耳のつけ根のほぼ中間にある、骨が薄くて打撃に弱い部位

強打により脳が揺れ、平衡感覚が失われる。気絶することもある。脳内出血を起こすこともある


あご

特に下顎は強打されると脳震盪を起こす。また、側面を強打されると脳が揺れ、血栓などを引き起こす。

東洋系の武術ではこの下顎(別名、下昆かこん)がよく狙われる。


※首

喉仏は強打されると呼吸困難になる。

深く切れば動脈切断による大量出血が起きるが、浅く切られる分には命に別状はない(よく誤解されがち)。首に違和感は残るけど、首もほかの部位と同じように毛細血管が切れる程度なら大量出血にならないのです。大事なので二回言います


※乳様突起→耳の後ろにある、円錐状の突起した骨のこと

強い衝撃を与えると平衡感覚が狂う


※人中→鼻と口の間のくぼんだ部分のこと

打突により歯が折れ、激痛を受ける

この部分に強い衝撃を受けると呼吸困難や重度の外傷を引き起こすことがある


※頚椎→首の後ろの部分にある脊椎のこと

頚椎には第一頚椎から第七頚椎まであり、実は部位によって支配する神経の種類が異なります。首の上の方になるほど呼吸困難になったりします。また、どの頚椎も損傷すればタダではすみません。

余談ですが、頚椎だけは急所の中でもややこしいので、なるべく出さないことをオススメします。



②胴体部分

※心臓

もちろんですが、これを潰されたり刺されたりしたら死にます。

余談ですが、肋骨や胸骨の構造上……

正面から→骨の隙間に刃物などを入れれば心臓に届く

背後から→骨にあまり守られていないので容易に届く

です。よくサスペンスとかでも使われますね。刃が縦になってると「肋骨に引っかかってる!」と言いたくなりますが。


※肺

呼吸を担う大切な部分です。肋骨が折れると高確率で肺に刺さると言われています。ここを破壊されると肺に血が溜まったり、穴が空いたりして呼吸困難になります。ここを損傷する主な原因は、ひどい交通事故や土砂崩れに巻き込まれた時、なんじゃないかな。


鳩尾みぞおち→腹の情報中央にある窪みのこと

言わずと知れた急所。ここを強打されると横隔膜の動きが一瞬止まり、呼吸困難に陥ります。

余談ですが、鳩尾を攻撃されて気絶するのは「痛みに悶絶もんぜつする」から。鍛えている人だと、鳩尾の周りが筋肉に守られているため気絶しにくいです。あと、漢字は色々ありますが、どれも同じ意味になります。

さらにおまけ知識。

鳩尾のすぐ上の部分にある「胸尖」という急所は剣状突起と呼ばれる骨のある部分。剣状突起が折れて内臓に刺されば危険で、場合によっては死に至ります。これを殺人事件のネタにするかはあなた次第……。


※金的→股間、生殖器付近。特に男性のものを示す

こちらもよく知られた急所。軽い衝撃でも激痛が走ります。逆に言えば、女性や子供でも男性を怯ませることが出来る部位、ですね。力量に差があるなら、ここを狙わせてもいいかもしれない。


※腋の下

ここは、深く切られると大量出血します。また、大量出血してしまうと圧迫止血法が使えず、失血死しやすいです。皮膚の近くに筋肉もあり、浅く切っても痛いのだとか(これは諸説ある)。




 長く書いてしまいましたが、小説のネタとして使いやすいのはここら辺かと。私が下顎をよく使うのは、上で記したように「鳩尾攻撃による気絶は武芸者相手だと難しい」からですね。首と鳩尾は結構多用されるわりには誤解されることも多いと聞いたので、多めに書かせていただきました。


 本当は頚椎とか脳震盪とか語りたいんですけど……長くなるので割愛。最後の最後に二つだけ書かせてください。



※目潰し

物や指で目を潰すこと。しかし目の正面から狙うことが多く、高確率で防がれる。このため、戦闘で狙うのは得策ではない。


※手首

手首は浅い位置に動脈がありますし、動脈を切れば大量出血します。ですが! 手首の動脈を切るには腱を切るほどに深く切らなければなりません。また、横方向に切ってもあまり切れません。よく自殺未遂で使われる手首ですが、実際はそう簡単には血管が切れることはなく、簡単には死ねない、と覚えておきましょう。



以上です!

長くなりすぎたな……。

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