鎖帷子(チェインメイル)って知ってる?
えー、一話を公開したら色々反響があってびっくりしてます。週一更新ですみません。抜粋文を採用してる大元が週一更新なもので(そもそも抜粋文の意味があるかとなると話は別)。お詫びと言いますか、緊急で三話まで公開するので許してください。
あくまで「私はこう書いてる」というのを示した上での背景知識などの紹介、ってしたいのです。需要あるかは別として。作者、こう見えて結構チキンです。さて、関係ない話はここまでにしましょう。
今回は衣服の下に着込むことのできる簡易的な防具、
では、わかりやすくなるかわからないけれど、お得意の抜粋パート。今回も「カラードの乱~黒人武芸者の革命譚~」から抜粋。「ダン」も「
☆抜粋パート
ダンの前には、膝をついて座り込む金牙の姿があった。その手には刃の折れたレイピアが握られている。服は胸部でパックリと裂けており、服の裂け目からは
金牙は薄い刃を持つレイピアで大鎌の斬撃を受け止めようとした。レイピアは攻撃に耐えきれずに折れ、殺しきれなかった斬撃は当然、金牙に襲いかかる。斬撃は鎖帷子によって受け止められたが、金牙はその斬撃の衝撃に耐えられなかった。その結果、膝をついて地面に座り込んでしまった、というわけである。
(「3-3 奇襲は突然に」より抜粋)
【解説】
上記のシーンでは、鎖帷子を身にまとっていたことで、大鎌による斬撃から生き延びることが出来ています。これは「鎖帷子は斬撃を防ぐのに効果的」という前提に基づいています。
鎖帷子は、刀などで斬りつけられた場合に非常に効果的です。鎖帷子が斬撃を受け止め、その衝撃を分散。さらに、細かな鎖で編まれているため、刃が肌に触れるのを鎖が防いでくれます。刃物による斬撃に対して高い防御効果を発揮するのです。
ここからは鎖帷子の豆知識
①鎖帷子は重い
鎖帷子は衣服や鎧の下に着込みます。ですが思い出してください。鎖帷子は細かな鎖で編まれています。着衣の形をしているため、その全重量が肩にかかることになります。
このため、鎖帷子を身につけたまま生活するのは難しいです。腰にベルトをつける、などして重量をいくらか分散させることは出来ますが、それでも重い。なんと言っても鎖で出来ているので。
そのため、実際は必要な場面でのみ着用していたとされています。また、動く時には鎖帷子の重量がかかるため、息切れなどがしやすかったとか(これには諸説あります)。あと、中世の西洋だと鎧の下に鎖帷子を着込んでいたから、刃物ではダメージを与えられなかったのです。
②鎖帷子は相手を油断させる
鎖帷子が効果を発揮する場面は、斬り付ける相手が「相手を斬った」と感じる時です。斬りつけると、妙な感触と共に刃物が跳ね返ります。この感覚で「相手が鎖帷子を着込んでいる」ことを知ることが多い。一度「斬った」と油断しているため、気付いた瞬間に体勢が乱れて隙が生じます。多くの武芸者はこの「隙」を利用して、攻撃に転じていたわけですね。
ですが一つ、忘れないでください。鎖帷子はあくまで「衝撃を分散する」効果を持っているだけです。衝撃を無力化出来るわけではありません。衝撃を緩和するだけで、多少の衝撃は受けることになります。さっきの抜粋で金牙さんが座り込んだのには「衝撃を完全に無力化は出来ない」という背景があります。(この衝撃についても諸説あります)
③構造上の欠点
鎖帷子はその構造上、刺突に弱いです。また、鈍器による衝撃を緩和する効果もありません。このため、鎖帷子は刀や弓矢などで「突く・貫く・刺す」と言ったことをすると攻略されてしまいます。鈍器(メイスとか戦槌とか)で強い衝撃を与えれば、その衝撃は鎖帷子越しに相手に伝わります。この欠点を生かすも殺すもあなた次第……。
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