第5話
祖母ミミに言われるまま連れられた莉衣葉だが、どこか自分の住んでいる世界と同じように見えた。
でもどこかが違うのだ。街並みはヨーロッパの街並みのような
それでいて日本の住宅街のような
量産的で均等公正な規格化された無の威圧感のような
「おばあちゃん」
「なんだい?」
「ここ魔法界はどういうところなの?」
「?ここはお前の住んでいるところと変わらないさ。
意識していないだけで、いつも隣でひっそりと息づいている
生きものや世界たちだよ」
不思議そうにミミは言う。
最初から感じた違和感も、なんの疑問もなく異世界だと、
莉衣葉がすぐに理解したのも、莉衣葉が“隣の住人”
つまりは人間界に属しているから故に感じた本能だった。
では目の前の祖母は“隣の住人”だったはずなのだ。
なぜここにいるのだろうか。
「そろそろお帰り
なんのおみやげもできなくてごめんね」
「ううん。大丈夫
でも、私ここからの帰り道わからない」
「振り返らず、そのまま道を進んでご覧
必ず帰れるから」
ミミはそれ以上何も語らなかった。
泣きそうになりながら、莉衣葉はミミに言われたとおり振り返らず、道を進む。
戻れなかったらどうしよう。
ぎゅっと目を瞑り歩く、
どれだけ歩いただろう
目を開ける莉衣葉の目に見えたのは見慣れた学校への通学路だった。
不思議な気持ちで莉衣葉は通学路を歩く
でも何故だか学校へ行こうと言う気持ちにはなれなかった。
今日は寄り道でもしてしまおうか
莉衣葉は学校への方向からは背を向け走りだした。
なんだか今日は不思議だ。
へっぽこ魔女と魔王の息子の話 荻野目律(及川衣摺) @Kizuri_Oikawa
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