青の廃墟( 8 )

 目が覚めると、一面の白。


 一人の少女──ではなく、白衣を着た老夫がこちらを見つめていた。



 様々な説明を聞いた。


 朝霧千歳が、自殺未遂をしたこと。命が失くなる寸前で発見され、ここに運ばれてから暫く心肺停止していたが、何故か突然息を吹き返したこと。


 頭では自分のことだと分かっていたが、全く実感がわかない。


 抜け落ちた記憶は、戻ることはなかった。自殺未遂の後遺症らしい。しかし、家の場所や、自分に関することはすらすらと答えることができたため、家に帰っていいことになった。



 自分の部屋に残されていた日記には、家族を事故で全員亡くした少年の苦悩が記されていた。どうやら、多額の遺産を相続したらしく、お金目当ての友人に裏切られた、などと書いてあった。相変わらず、全く実感はない。



 すぐに、学校はやめた。生きるのに困らないくらいの遺産はあった。



 有り余る時間を使って、様々なことを調べた。


 小鳥遊葵、と言う名前を検索した結果、彼女は15年ほど前に亡くなっていた。死因は自殺。当時、有名私立女子高に通う女子生徒が下校途中に自殺した、センセーショナルな事件として話題になったらしい。原因は、同級生からのイジメに耐えかねてではないか、と記されていた。


 そして次に、生と死について調べた。いくつか、それらしい記述を見つけた。



 死者があの世へ行く途中に渡ると言われる、「三途の川」。


 そして、死にゆく者は「青い光」を放つ、ということ。

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