青の廃墟( 3 )
青い空。
白い雲。
私の上には、この二つがどこまでも広がっている。ゆっくりと、雲は流れる。快晴だ。
そして、まず耳に聴こえるのは、そよそよという音。視線を下げると、足元に細く背の低い草たちが、風に揺れていた。思わず、私は歩みを止めてその景色を見つめていた。すると、隣で少女がぼそりと呟いた。
「綺麗」
綺麗。綺麗か。確かにその言葉が当てはまる景色だ。どこまでも続く草原。晴れ渡る空。私が住んでいるところとは大違いだ。私の記憶では、空は灰色に染まっていて、淀んだ空気が渦巻いていた、気がする。__気がする?
そこで、ようやく私はある一つの事実に気が付いた。
今隣にいる少女と同じように。私の記憶も、何かが抜け落ちていることに。
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