青の廃墟( 2 )

 この青々としているつたや雑草をみるに、どうやら此処は砂漠のような場所ではないようだ。ならば、きっと水もあるだろう。


 右膝からは何とも言えない気持ち悪さと、どくどくと波打つ熱が絶え間なく押し寄せる。どうやら、思ったよりも傷は深いようだ。


 左足と両手を使ってなんとか立ち上がった。すると、近くを見回っていたらしい少女が、小走りで近寄ってくる。


「肩を貸すわ」


 よくもまあ、こんなにも表情一つ変えないで言葉を発せるものだ、と思わず感心してしまう。そんな考えと膝の痛みを追い払うように頭を振り、「ありがとう」と呟く。言葉通り、ありがたく肩を貸してもらうことにする。


 少女の肩に体を預けると、見た目よりもかなり華奢きゃしゃだった。全体重を預けたら、肩の骨どころか体中の骨が砕け散ってしまいそうだ。あまり、体重を掛けすぎないように気をつけながら一歩ずつ歩を進める。目の前のぼろぼろの壁には、人二人は余裕で通れそうなくらいの穴が空いている。


 そして、廃墟の外へ出た。

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