第75話 最後の戦い

悪竜はその数を六百体にして、悪魔国ヘビュートを埋めつくし、

いままさに世界全土に向けて進軍を開始しようとしていた。

もとは暗雲からうまれし魔族の眷属たちの肉体を取り込んで為した、

その数を見るに、途方もない巨大さを兼ね備えた竜の軍団である。

「名うての竜騎士であっても、この数にはかてまい!!」

「竜騎士シンボリック参る!!!」

「剣豪タメク! 何故だか伝説の槍をもって参る!!」

「ワープするのよ!! 悪竜王のすぐそばまで!!!」


ザザリアンは悪竜王の心臓めがけて槍で猛追猛撃するも、

「どれも通らぬ!!! 話と違うではないか」

「ザザリアン様!!! あぶない!!!」

瑛出光昭の瞬間移動能力ですんでのところを救われる。


剣豪!魔法使い!僧侶!盗賊!文士!

タメク、イセイ、シングレ、ダノマ、アヤト!

「やるぜアヤトさん、それとザザリアン、隣のお前さんも手伝え!!!」

「軽々しく魔王の名を、まあいい、何か考えがあるようだしな!!!!」

魔王ザザリアン夫婦と五人組みは即座に話しあい、その方法を理解した。


悪竜王は熱線を放つことをしようとエネルギーを溜めはじめている。

「なにをしようともお前らの好きにはなるまい!

 悪竜使いヘイメカクトルの力をとくと見るがいいわ!」


まずは僧侶の祝福よ!僧侶シングレ!

「はいよっと!神様、たのみましたよ!伝説の槍を!!!」

次は魔法使いの眠りの術よ!魔法使いイセイ!

「わかった!ねむれねむれ、悪竜王トンベンマガスガトリクト五世!!」

悪竜王は眠りについた、「ええい、目覚めよ! 我のゆうことを訊け!」

次は盗賊の目利きよ!弱点を見極めて!盗賊ダノマ!

「でけえ、図体だが!ようやっと探り当てたぜ!!あそこが心臓の弱点だ!」

「わかった槍で突くぞ!! いくぞ ザザリアン! 瑛出光昭!」

最後は剣豪タメクの伝説の槍よ!! つらぬけぇぇぇぇ!!!!!!!!!!

「そおれ、つきとおったぜ! ザザリアンは!?」

「余の槍も反対側から通ったわ、これで構わんのだろう!?」


「くっだが悪竜王が死んだところで悪竜たちの猛追は既にユジリア国境を越えている! 貴様らがいかに素早く悪竜退治を行ったとしてももはや時間の猶予はないわ!」

「その心配は無い、なぜなら、まだ悪竜王は死んでいないからだ!」

「なんだと!? ふははは!! 効き目が無かったのか!?」

悪竜王は目覚めた、その時、悪竜が目に入った、そして蓄積したエネルギーすべてを

放出し、悪竜全部を一辺に焼き払ったのだ!!!!!

一瞬にして燦滅する悪竜600体と、そして狼狽する悪竜使い!

「何故だ、なぜにこのようなシナリオ、筋書になった!!!」

「簡単よ、心臓部を私たちが操っているから、そして今度こそ終わり!!!」

タメク!ザザリアン!

「いわれなくてもぉぉぉ!!!!!!!!」

「くらえええええええええええええ!!!!」

両者の力を込めた更なる突きは、悪竜王トンベンマガスガトリクト五世の心臓をしかと打ち破り、そのエネルギーすべてが放出され霧散していく、人類は悪竜王に勝ったのだ!!

「馬鹿な、 馬鹿な、 馬鹿な、 うわあああああああああ!!!!!!!!」

悪竜使いヘイメカクトルはくずれゆく悪竜王の肉体に押しつぶされて息を引き取った。


「やったわ」

「やったぜ」

「やりましたね」

「やりました神様」

「ついに念願のっだな」

「まあ魔王である我ならば当然」

「なかなかてこずらせましたねザザリアン様」


「勝ったのか!?」

奇跡的に生きのこった騎士達が皆暗雲が晴れていくのを目撃した。

「やったぞ、この世に正義が示されたんだ!!」

ぎりぎりの救出劇を演じていた魔法使いたちもまたこれを目撃した。

「やったか、五人の勇士達よ」

彼らを見守っていたユジリア王もまた、天を仰ぎ、久しぶりの太陽を目の当たりに、

「やったぞおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!人類の勝利だあああ!!!」

人々は、勝利を確信し、またひとりまたひとりと抱き合って喜び勇んでいる。

「まったく世話をかけおって」

悪魔王セイカリテルは居心地を悪そうにして、影に去っていった。


人類は悪竜に勝利した。

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