第49話 異世界転生したらチート許してもらった件について

「くっここはどこだ!?」

俺の名前は三条健斗、どこにでもいる普通の高校生だったはずだが、

「ようこそおいでくださいました、勇士どの、

 あなたには生きて魔導砲の肉弾となり、かの悪竜めを、

 撃退するクエストが与えられました、おめでとう」

「おめでとう、勇士殿、この鎧は伝説の鉱物、

 オリハルコンで出来たもの、貴方は魔導砲に装填され、

 オリハルコン肉弾となって、必ずやあの悪竜を討つことでしょう」

「なんだ、それは?!ってこいつらの言葉を俺は分かるのか?!」

「おめでとう、勇士殿、ささ、こちらの座席は、

 魔導砲弾一号となられる貴方様が休まれる台座につながっております」

「おれは勇士殿ではない!三条健斗だ!」

「おめでとう、三条健斗さま、あなたには女神、死神、悪魔、天使、

 天帝、始皇帝さまから与えられたチート能力が許されております、

 確実に悪竜を仕留めることでしょう、ささ、チート座席にお座りください」

「ふむ・・・・・・って待て、このチート座席いったいいくつあるんだ?」

座席の数はまるで劇場上映のシアター席をずらりと一列に並べたように、

それぞれがレールにがっしりと組みあっている。

「ざっと、376席ですよ三条健斗さま、では次の勇士殿がつかえておりますゆえ」

「わかったとりあえず座ればいいんだな?」

「ええ、そのようで」


「かくして376発の異世界転生砲弾が用意されたわけだが、

 魔導砲初の連発方式で、さらに弾薬まで取り付けたとなると、

 これはもうどうなるか分からぬな」

「やってしまえばいいのです!

 あの悪竜を貫徹できるのはチート能力のみです!

 魔導転生連発砲で悪竜の心臓部を貫くのです!!」

「いわれなくともだ! 第一射構え!」

分間15発の連射砲と化した魔導転生砲を持てば、

今まで足りなかった火力を充分にカバーできる。

「はなてぇ!!」

悪竜の全身、その稜線に向って放たれれる転生砲弾

「なんだ、座席が動いて!? うわっ!!!」

一瞬の魔法力の爆発が、主人公補正と反発し合い、

無限大の魔力を放出し、異世界転生勇士弾を発射!!

「ギィイイイアイイイイイイイイィイイイイイイ!!」

「悪竜の雄叫びか!!??」

「構わん!撃って撃って撃ちまくれ!!」

「うわっなんだ、座席が動いて!?」

ドドドドドドオドドドドドオドドドドオドドドオドドオオド!

速射される勇士達は確実に悪竜トンベンマガスガトリクト四世の肉体に、

風穴をぶちあけて、噴出する血しぶきが城下に踊っていた。

「ふはははは!!!!!!!!!!

 みろぉ!!まさに無双無敵の兵器だぁああ!!!」

「主人公補正完了!次弾装填完了、速射用意!」

「うてうてうてうてうてうてうてうてうてぇぇええ!!!」

「うわっなんだ、座席が!?」

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!

悪竜に空いた風穴が、幾又にも伸びる尾っぽと胴体の連係さえぶち抜き、

尾がズシンと大地に落ちた時、ユジリア国全体が震撼し揺れるほどの勢い、

噴煙が噴き出すたびに悪竜を巨大な活火山に変えて、

爆炎が茸雲となって立ち上る!!!

「残弾66発です!!」

「かまわん全弾照射ぁぁぁ!!!!!!」

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!!!!

「うわっ座席がァァアアアアアアアアア!!!!」

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!

「全弾撃ち尽くしました!」

おぞましい量の噴煙が辺りを多い、

火山弾のように吹き飛ぶ悪竜の肉塊、

「悪竜、原型を留めません! 肉塊と化しました!」

「やったか!? はっはっはっは!!!」

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