第50話 肉塊・爆心地

「くっどうなったの?」

私に任された仕事は悪竜の制御だった、

「魔法兵、応答せよ、魔法兵!?」

そのために悪竜使いに近づいたのだけど、

「だめね、この大魔女テファイに手間をかけさせて」

今、現在、おびただしい数の爆撃を受けて、

悪竜城が瓦解したのを目の当たりにしたところ。

ドクン!ドクン!鼓動?

「どうやら悪竜はまだ死んでないみたいね、けど」

「どこへ行った悪竜使い!!」

一等文士を名乗るそいつは牢屋に捕えられ、

悪文を披露していたのだけど、そいつが逃げ出して、

何処へ行ったのかが分からない。

「勝手に死んだとは報告書には書けないわね、

 ユジリア王は無事かしら?」

いや、いまはもうそんなことは関係ないかしら、

「いまのうちに逃げ出さないと、さっきの爆撃が、

 また始まったら、今度こそ助からないわ!!!」

魔力隔壁、王城本丸を護るそれは、絶対の防衛力を備えていると効くけど、

「わざわざ悪竜になった本丸に留まるのは絶対危険!」

かとなったら、

「飛んで逃げるわ、箒よ出でよ!」

大魔女は空を掻っ切って悪竜の体内から出でた、

「これが」

噴煙をいまだあげている悪竜の心臓部は遠いが、

遠目にも悪竜の肉弾がマグマとなって突沸し、

こちらに飛び散ってくるのがみえる。

「えげつないわね、はやいとこずらからないと」

トンベンマガスガトリクト四世の肉体は半分が溶解し、

また半分は再生し始めていた。

「こいつ・・・・・・不死身か!?」

大魔女テファイはただ、

その様子を文士に伝えるために、

移動するまでの事だった。


かくて超大国ユジリアは自らが作り上げた文明と文明をぶつけ合って、

その半分をいともたやすく失ってしまったのである。

魔法を極めしものが至るあやまちとして後に語り継がれなければなるまいが、

燃え盛る炎を前にしてはまだその準備にさえ取り掛かることが出来ない。

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