第20話生まれ変わりはこの中に

「……この中に、リル女王の生まれ変わりがいる。そういうことではないのか?」

 部屋内が沈黙に包まれる。

「……だとしたら、一体誰が……。」

「……いや、普通に考えてサフィアさんなのでは?」

 咲香はパンを口に入れながら話す。

「ええ。姉上は強いですし……。その可能性は高いと思います。」

「おい、なんでオレなんだ。そこは邪気と話せるアリナだろ。」

 急に話が盛り上がり、スウォラが混乱する。

「姉上。そもそも、なぜアウルと日本を行き来するのか。それは日本にいた咲香ちゃんがリル女王の生まれ変わりで……。」

「ちょっと、アリナ。なんで私がリル女王なの。やっぱりそこはサフィアさんでしょ。」

 スウォラは大きなため息をついた。



「……皆様。トモエがお呼びです。」

 朝食を食べ終わって、少し暇を持て余していた時、それは唐突にやってきた。

「大事なお話があるそうです。城の最上階にいるそうですので、ご案内いたします。」

 スサーはきっちりとセットされた白髪を触り、いつもより真剣な面持ちで歩いて行く。

 サフィアを先頭に、アリナ、咲香の順でスサーの後ろを歩く。スウォラは咲香の腕の中である。

「私、ずっとあの部屋の中にいたので分かりませんでしたが、この城とても広くてきれいですね。」

 アリナはきょろきょろと周りを見回す。

「ありがとうございます、アリナ様。しかし、この城はとても古いので、とてももろいです。城内を歩く時はお気を付けください。」

 辺りは明るく広い廊下から、薄暗い階段へとかわっていった。

「……ここです。」

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