第19話目覚めたとき

 ……スウォラは、眠っているアリナを、ずっと見つめていた。

 邪気の森の中で、アリナが起こした奇跡。

 それはスウォラの中で、『憶測』だったものが、『確定』となった。

『……アリナさん。』

 アリナは名を呼ばれても、目を開けない。

 アリナが眠っている理由は、なんとなく分かっている。

 スサーも昔、このような感じであった。

「……っ。」

 アリナがうっすらと目を開けた。

「……ここは。」

『起きましたか。』

 アリナはゆっくりと、上半身を起こした。

「……あれ、咲香まだなのか?」

 いきなりドアが開き、サフィアが薬草を手に部屋の中へ入った。

「おう、起きたか。体調はどうだ?」

 アリナは、何か不思議なものを見たような目でサフィアを見つめていた。

「……あなたあは、誰?」

「……は?」

 サフィアは慌ててアリナに近寄る。

「どうした、アリナ。」

 アリナは何かを思い出したような顔をし、その後、きょとんとした顔でサフィアを見つめた。

「あれ、ここどこですか?え、姉上、どうしたんですか?」

 サフィアは安心したのか、その場で座った。


 

 ……朝。ルグ村の朝の空は珍しく、雲一つ無かった。

「皆さん、昨夜はよく眠れましたでしょうか?」

 スサーが朝食を持って、三人と邪気がいる部屋に入る。

「ああ。おかげ様でな。」

 アリナの体調も良くなってきている。

「それではまた、後ほど。」

 スサーは一礼をして、部屋を出た。

「……にしても、何故トモエがオレたちを歓迎しているか、だ。」

 実際、スサーは城の門の前で『歓迎している』という言葉。

 さらに、スサーはリル女王に仕えていた者の息子。つまり、リル女王の関係者、ということになる。

 リル女王の関係者、そして、『歓迎している』という言葉。

 つまり……。

「……この中に、リル女王の生まれ変わりがいる。そういうことではないのか?」

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