第14話邪気の森

「それでも、行きますか?」

 私は少し不安になって、二人に問いかけた。

 そんな危険な場所に、どうしても行かなければいけないのだろうか。

 でも、姉上は、多分……。

「……ああ。邪気がたくさんいることで、病気になって死んだ人はたくさんいる。もう、邪気の影響で死ぬ人はいてほしくない。」

 姉上は昔から、そういう人だった。

 小さい頃から国の人たちを守るためだと、毎日剣の鍛錬をしていた。

「……私も、本当はすごく怖いけど、何人、何十人の人が助かるのなら、私、その村に行こうと思う。」

『……ボクも、行こうと思うます。』

「私は……。」

 私は。


 私は一体、何がしたいのだろう。


 気が付くと、暗い森の前にいた。

「またか……。」

「何だろうね、あの黒い穴……。」

 黒い穴。アウルと日本を行き来する時に現れる謎の穴。

 と、いうことは、だ。

 わたしたちはまた、アウルに来たのだ。

「ねえ、サフィアさん。この森、何だか黒っぽい霧がかかっているような……。」

 確かに、咲香の言う通り、目の前の森に黒い霧がかかっている。

「ああ、見えたか。当然だ。」

 胸騒ぎがした。

 なぜなら、この目の前の森は……。

「この森は、邪気の森だ。」

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