第6話旅はこれから
「邪気を全て消すには、リル・ナラカ・セルスを倒すこと……だそうです。」
「リル・ナラ……誰それ?」
姉上は青ざめた表情で咲香を見た。
「そうか、咲香は日本の住人だものな……。ここはアウルという国だが、百年前はセルスという国だった。そのセルス国の女王であった者がリル・ナラカ・セルス。不死身だと言われていたが、何者かに暗殺され、その後アウル国がせきた。そういえば、邪気が大量に出てきたのはそれくらいの時代だと聞いたな……。」
「ええ。スウォラの話では、その生まれ変わりがいるそうです。その人を倒せば、邪気は消えるかもしれません。」
実際、邪気を作り出す元凶がいるというのは本当らしい。つまり、その元凶がリル女王の生まれ変わりかもしれない。
「え、でも、だからってリル女王が邪気を作ったとは言えないんじゃない?」
「リル女王は邪気使いらしい。邪気を操ることができる人だったという。リル女王が暗殺された時に邪気が出て来たんだ。邪気の元凶だというのは確実だろう。」
「……なるほど。だったらさ、邪気をたくさん持っている人探せばいいんじゃない?」
「……本当に、いるのでしょうか。」
すると、スオォラがなにか話し始めた。
『大丈夫ですよ!邪気のボクが言っているんですよ、絶対いますよ!』
スウォラは胸を張った。
「しかし、日本とアウルを行き来するのは何故なのだろうか……。」
確かにそれは不思議だと思っていた。
「もしかしたら、リル女王の生まれ変わりの人が操ってるのかな。」
『そうかもしれません。その可能性は高いと思います。』
「……とにかく、ずっとここにいては何も始まりません!トマラの森を抜けましょう!」
「そうだな。ここからなら、一時間くらいで抜けられると思う。それと、二人共。この旅は長くなりそうだが、オレに、ついていくか?」
私は、どんなに辛い旅でも、皆についていきたい。
だから、私は……。
「姉上に、ついていきます。」
「私も、皆についていく。」
『もちろん、僕もです!』
私たちの邪気全消しの旅は、まだこれからだった。
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