私はどれなのだろう
私はどれなのだろう。私はどれなのだ。
私は私の身体を含んでいるだろうか。
私は私の精神を含んでいるだろうか。
私は私の意志を含んでいるだろうか。
私は私の感覚を含んでいるだろうか。
私とはそのどれでもない。それらは私ではなく世界のほうに属しており、私はそこから遠く隔たって私のほうに属している。その一方でたしかに私は私の身体や精神に厳格に拘束されており、この拘束によって私の指し示しはかろうじて実質的精度を保つのだが、それでもそれらは私に属してはいない。それらによる私の拘束とは、私の所有でもなければ私の被所有でもない。私の身体や精神に対して私とは表面であり、それらはつねに私のまえを通りすぎてゆく私ではないなにものかにすぎない。私はそれをただ眺めるのであって、この眺望こそが私の表面であり、私自身なのだ。私は目覚め、食事を摂り、排泄し、歩き、考え、感情を励起し、会話を交わし、意志の発露を行うが、私がそれをしているわけではない。それらは私の身体や精神が為すことであり、私には関係がない――私にあるのはただその眺めであり、この眺めの持続という拘束だけである。
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