第4話 お菓子な買い物。
「あっ、いらっしゃい。あれ、もしかして直人に用かな? 」
「……えっ!」
突然、目の前に食べ物の職人姿の中年の男性が現れた。
「違った?」
「えっ、あ……ここは?」
今日は塾の日で、家に真っ直ぐ帰ろうとしていたはずなのに、何故か知らない場所に居る。
「和菓子屋だけど」
目の前の商品ケースに、和菓子が並んでいた。客がついさっきまで居たのか、レジの前に小皿と湯飲みが置いてあった。
「洋菓子店と間違えて、入っちゃった?」
「あぁ、と」
何て答えていいか、言葉も無い。本当に訳が分からないのだから……ふと、商品ケース内の、粒の大きな甘納豆が視界に入った。すると、お腹が
あぁ、何だか
「この甘納豆を一袋、お願いします」
店を出て、初めて気が付いた。
「"和菓子の甘粕"……甘粕?」
もしかして、同じクラスの甘粕君の家? ここ、駅前の商店街の通りだし。甘粕君の家だ。間違いない。でも、
「あれえ?」
家とは思いっ切り反対方向で、全く可笑しい。猪口怜は思わず右手で頭を掻いた。左手には甘納豆の入った紙袋を抱えて。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます