第3話 輪廻

 あいつとの出会いと別れを延々と繰り返す中で、わかったことがある。

 おれがあいつに想いを告げると、あいつは、24時間以内に、おれの目の前で死に、おれが悲しみと孤独のどん底に辿り着いた時――それまでに、何日、何ヶ月、何年、何十年かかるかはわからないが――、おれたちの人生がリセットされる。

 あいつがおれを好きになり、その想いをおれに告げた時も同じだ。やはり、24時間以内に、あいつはおれの目の前で死に、おれが悲しみと孤独のどん底に辿り着いた時――それまでに、何日、何ヶ月、何年、何十年かかるかはわからないが――、またおれたちの人生がリセットされる。

 それまでの記憶を持っているのは、おれだけで、あいつはすべてを忘れてしまう。そして、おれたちは、また出会う・・・・。永遠に、これが繰り返される。

 それが、おれにかけられた呪い・・・・おれが背負っていく十字架・・・・


  ★  ★  ★  ★  ★  ★


  リセットされたおれたちの人生は、歴史の中で、唐突に始まる。場所も、背景も、バラバラだ。赤ん坊として、どこかの母親から生まれてくるのではない。まるで、突然、だれかほかの人間の身体の中に、おれたちの魂が放り込まれて、その人間の人生を乗っ取ってしまったかのような感覚なのだ。でも、それは一瞬のことで、おれも、あいつも、その人間の過去や、育った背景や、人間関係さえも、すべて理解している。そして、その人間として、なんの違和感も持たずに、人生を始めることになるのだ。おれだけが、それまでのすべての記憶を持ったまま・・・・。


 ただ、何度リセットされても、変わらないものもある。おれたちの本質的な性格と、姿形と、身体能力、そして、名前だ。


 おれは、幻。


 あいつは、恋。

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