第十二話 競技会×問い掛け×優先順位
「……」
あれから机に落書きをされなくなったとはいえ、嫌がらせ自体が終わったわけではない。
『昴をその気にさせておきながら、自分は休みの日に他の男と出かけるとか、とんだ女孤ね。』
そんな内容の手紙が開閉式の靴箱の中に入っていた上に、言いたいことは何となく分かるのだが……残念かな。字が間違っている。狐は
手紙の内容からは、どちらの日の事を言っているのかは分からない――おそらく、昨日なのだろう――が、どうやら彼女にも見られていたらしい。
それにしても、前回は
そして――現状、私の中の優先順位は、彼女によるイジメの対策よりも、『研究所』とそこの関係者対策の方が上なので、彼女には申し訳ないが、私への攻撃よりも彼へのアプローチに全力投球してもらいたいところだ。
「『全国異能競技会』か」
ぼんやりと、廊下の壁にある学年別の(私たちは二年生なので、二年の教室がある階にある)掲示板に貼られている掲示物を見ていたら、いつの間に隣に立っていたのだろう
『君たちの実力を示せ! エントリー募集受付中!!』と、こちらに向けて指を指している男女が書かれたポスターに、私はその場を後にする。
「ま、何があっても、私は『無能』だから出られないけどね」
それでも出ろと言われたら、それは何というイジメだろうか。
しかも、出場なんて言う『研究所』の奴らに見つかるような真似もしたくない。そうなれば、嬉々として連れ戻しに来るだろうから。
だから――たとえ、いくら『万能』と言われていようが、嫌なものは嫌なのだ。
「俺も出ることは出来ないな。
どうやら、私が不在だったときにそんな話を話していたらしい。
「うわぁ、
思わずそう言ってしまうほどに、可哀想でしかない。
「本庄も同じことを言ってたし、鳴海は鳴海で肩を落としていた」
あ、その光景が想像できる。
「で、私の近くに居るようにとか、あの二人に何か言われた?」
今まで距離をとっていたくせに、何故今さら近づいてきたのだ。
「さあな。でも、言ってきたのは本庄だぞ? 真面目な顔で『出来る限り、一緒に居てあげて』なんて言われて断れるか?」
「気持ちは分かるけど、でも律儀に守らなくってもいいでしょ」
「確認のしようは無いと思うが、何となく、本庄にバレそうだからな。逆らわない方がいいと思ったまでだ」
どうやら、黒城君の中で、
「美樹さーん……」
思わずそう彼女の名前を呼んでしまうほどには、もう少し手加減してやれと言いたい。
「それと、
「無いよ。
「それは……」
黒城君が何となく理解したみたいだが、どうせなら教えてほしい。
「私としては、あの二人がくっついた方が、全て丸く収まる気がするんだよ。あの二人のファンや取り巻きの人たちのためにもね」
「……それ、あの二人の前で言うなよ? 絶対に落ち込むから」
何だろう。黒城君からあの二人への哀れみを感じる。
そうこうしていれば、
ちなみに、教室に戻ってきた際に、菜々美たちがニヤニヤとしていたり、例の如く、私の席の近くにいた
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