第14話 御宅訪問
「もしもし、御白です。お願いいいですか?」
寮の自室に戻り俺は、頼れる人に電話をかけていた。
「魔法による会話ではなく、電話をしてくるとはどうしたのですか?」
通話相手は緑こと、
この人はカラーズの秘書を務めており、頼れるお姉さんだ。
仕事マネジメントや、給料管理、団員の飛行移動など、多方面でカラーズでお世話になっている。
何故本名を知っているかというと、カラーズ結成当時のメンバーだからだ。
カラーズの前は知り合い同士の集まりだったため、普通に名前で呼び合っていた。賞金稼ぎをするようになり、あだ名を決めて呼ぶようになったのだ。
「とある事件が学校で起きているのですが、何か知っていますか?黄色に黒の力は使うなと言われたのですが、正直高校生だけでの調査は厳しいと思います。賞金稼ぎならまだしも探偵紛いのことをするとなると、やはり後ろ盾は必要と判断しました」
俺はすぐに本題に入った。
「なるほど。黄色の意見は一理ありますね。黒には御白友晴君として高校生活を送って欲しいのですが、魂持ちホムンクルス退治をこっそりつけた私たちが言うのも何ですが」
あの時は俺には戦わせないと言われていたため驚いたが、まあ勝てない相手ではなかった。
ただ九条先輩に、俺の立場がバレてしまった原因であるのは確かだ。
「九条先輩を巻き込んだ事は少しどうかとは思いますけど、カラーズの団員としてやれる範囲ではやりますよ。それでですが、ここ最近でうちの高校の生徒が数名不登校になっているんです。それも4月に入ってから」
「なるほど。それは少し気になりますね。特に御白君の通うイープレス魔法学園は優秀な人材を受験で集めているはずですので、急に不登校にというのは変ですね」
「ええ。それで気になって部活で話し合った結果、明日被害者のお宅に尋ねるのですが、そちらは俺が何とかします。頼みたいのは今から送る8名に関して調べてください。彼等は全員その血の何割かは異世界の種族の者達です。俺はこの中の誰かが怪しいと踏んでいます」
スマートフォンを操作して、緑に数枚の人物写真を送った。
「なるほど。彼ら全員が異世界系の血が混ざっているのですね。それにこの方......」
緑の知り合いでもいたのだろうか。
「知り合いか?」
俺がそう尋ねると
(忘れているならその方が)
「いえなんでもありませんよ。わかりました。こちらとしても事件性があると動かなければいけませんし。それにこの件。魔法連には報告が来ていません」
は?と俺は返していた。
ありえないだろ。魔法学園で生徒達が明らかにおかしな状態に陥っているんだ。俺達、狼煙部が調査を開始している時点で、魔法連には学校から報告がされていると思い込んでいた。
「ええ。私もこれほどの事件になりそうな件ですので、一度目を通したら忘れるはずがありません。特にカラーズから何人も潜入している学校ですし、黒も生徒として通っていますしね。イープレスについては特に注意深く見ているので、見落としの可能性はないかと」
「まさか学校側はこの件を隠蔽しようとしているのか?」
「そうだと思います。学校の信頼性を欠くことになりますので、新年度早々この規模の事件とは。被害者の数が数ですので。黄色と紺色はどのように?」
信頼性以前に死人が出たら終わりなんだぞ。
これだから近年では、魔法学園の隠蔽説みたいなあらぬ噂が立てられるのだ。
アレもまさか本当なんじゃないだろうな。
黄色と紺色か。
「教師としての立場上、動きにくそうですね。先程送った資料について、集めて貰うのにも先輩が言うのには3日かかったそうです」
「まあ魔法学園だから仕方ないわね」
黄色と紺色は学校にいるというのに、その資料集めに難儀していたそうだ。
それも下手に動くと、どんな網に引っかかるかわからないからだという。
それくらい魔法学園では警備や監視が厳重なのだ。それなのに、この事件に関して知らないとは言わせない。
「この件に関しては魔法連に通して、徹底的に調べるわね。とりあえず調査に関しては把握よ。でもまあ一つだけ。カラーズの事はあくまで最後の手段として考えて。それに友晴君は狼煙部で頑張るんでしょ?」
友晴君か。この人も人が悪いというかなんというか。
ここでその呼び方をされちゃ御白 友晴として頑張らざるを得ないではないか。
「卑怯ですね翠姉さん。俺の事をそう呼ぶのは貴方がプライベートの時だけではないのですか?」
「姉さんは今はプライベートよ〜友晴君もプライベートで通話して来ているしね〜。友晴君。部活での初の大仕事頑張って!」
「了解です」
俺はそう言って通話を切った。
友達として俺に関わる時のあの人は、少し絡みにくいとは思う。
ただそれでも俺の中では、優しいお姉さんなのだ。
6歳の時から知ってるからなぁ。
そりゃお姉さんになるよ。
ちょっと拍子抜けというか。プライベートでってあの人言ってたからカラーズのサポートは見込めそうにないかな。まずは明日しっかり情報収集しないとな
ーーーーーー
4月24日土曜日
俺は九条先輩と学校に来ていた。
休日の学校は部活動以外の生徒はほとんどおらず、俺と九条先輩が向かった、狼煙部の部室にも誰もいない。
部室の棚を開けるとそこには、数枚のプリントが帯で止められており、帯には御白君用と書かれていた。
「冬実先生に頼んでいたというものはこれか。これは、学校で配られていたプリント......。なるほどな。口実というわけか」
九条先輩はそれを見て、これが何かわかったようだ。
「ええ。急に押しかけるわけですし、事前にアポなんて取れません。ですので口実は必要だと考えました」
「流石だが、カラーズは魔法連所属だろう?そっちを使えばよかったんじゃないか?私は既に知っていることだから、てっきりカラーズの名を使うと思っていたのだが」
「カラーズで言われているんですよ。俺は御白友晴として、狼煙部やってるわけでカラーズの黒じゃないんですよ」
「なるほどな。了解した。では行こうか。と言っても家の場所わからないんだがな」
はぁと肩を落とす九条先輩。この人本当に調査苦手というか向いてないよな。
「調べてありますよ」
俺はそう言って九条先輩に3枚の紙を渡した。
1枚は地図。2枚目は加害者候補の情報。3枚目は事件性についての調査結果。である。
「な、なんだこれは。完璧にまとめられているじゃないか!まさかと思うが御白が調べたのか?」
九条先輩は驚きながらその紙をまじまじと見ていた。
「いえ、俺の頼れる姉貴分みたいな人に頼みました」
今朝方緑からメールが入っており、このようにまとめられていたのだ。
昨日の今日で仕事が早くて驚いた。
メールの最後には、可愛い弟からの願いとあれば徹夜でやりますとも!
(緑としては......ねえ黒さん?私の仕事無駄に増やさないでほしいのですが?ねえ。私がどれだけ頑張ったかわかります?今度ご馳走奢ってください)
と書かれていた。
この量をまさか1日で調べ上げるとは正直驚いたし、あの人が俺のために徹夜で動いてくていたことも驚いた。
あの人らしいな。ご馳走を奢ろうと心に決めた。
「うん?それはカラーズの方か?」
九条先輩にそう言われて俺は「さあ?」と答えると九条先輩は「カラーズには頼るのか」と言った。
「というか九条先輩。その腰に携える刀はなんですか?」
九条先輩は己の腰に帯刀されている刀の塚を触り不思議そうな顔をした後
「私の魔法武器だが?知っているだろ?」
「ええとですね。調査なんです。聞き込みの!そんな物騒な物持っていたら、怪しまれたり怖がられますよ!」
「なっ!?い、いいじゃないか!私の護身用だ!何があるかわからないじゃないか!」
九条先輩。貴方本当に戦いしか脳がないのですか!
「わかりました。でも調査なので、暴れないでくださいね」
「お前私を戦闘狂とかって思ってないか?」
「え?違うんですか?真田とか中谷に聞きましたけど、実力を調べるって言ってチーム組んで模擬戦したの俺達だけだったそうですよ?」
チームを組んだ日俺は九条先輩と模擬戦をした。それも九条先輩が満足するまでだ。
「それは君の実力がわからなかったからだ!私は普通だ!武器だって今日はいつもより少なめだぞ」
ん?少なめってなんだ?その刀だけじゃないのか?
服装は学校に来るので制服だし、鞄は学校指定のスクールバッグだ。
中身は......。
「九条先輩。その鞄の中についてなんですが」
「ぬっ!?な、な、な、な、な、な、何もないぞ!」
動揺しすぎじゃないですかね。
「見せてください」
無理矢理、九条先輩から鞄を取り上げようとしたのだが必死に抵抗され、中身を確認することができなかった。
「見せてください!」
「なっ!?変態!下着が入っていたらどうするんだ!」
「し、し、し、し、し、下着!?ハァ!?なんて物入れてんだってなりますよ!」
俺はすぐに鞄から手を離した。
「見てもいいぞ?でも下着が入っていたら君は変態になるな」
「ブラフですよね」
「そう思うなら開ければいい」
先輩はそう言って鞄を床に置いた。
「なぜ開けない?」
先輩は動かなくなった俺にそう言ってきたが、この人俺の持っているリスクを知らないのか?
99%の確率で下着なんて持ってきているはずがない。
だがだ。
もしも、開けて下着が本当に入って入ればアウトなんだ。
だがこの人確実に武器隠しているよな。
聞き込み先でそんなもの見せられたらと考えると......。
「よし」
俺はそう言って鞄を手にした。
九条先輩を見ると目を輝かせており、ワクワクしていた。
その反応。まさか本当に?俺は決意を固めていたのだが、その反応を見て一瞬躊躇したが、勢いよくカバンのチャックを開けた。
すると中には
「短刀、ナイフ、スタンガン、閃光弾、警棒、鉄扇、チャクラム......」
アホだこの人。戦闘狂すぎんだろ。しかもこれ全て魔法武器じゃねえか。
「かっこいいだろ!私のお気に入り武器だ!」
「俺一人で行きます」
俺はそう言って部室を出た。
あんなもん持ってこられたら、たまったもんじゃない!
「まあまあそう怒るなよ。楽しみにしていたんだからさ今日のデート」
はぁ。
「デートって何ですかね。今日調査なんですよ。もう俺一人で行きますから」
「いいじゃないか!デートしようよ!」
九条先輩がそう言って俺に抱きつこうとした瞬間だった。九条先輩の身体が何かによって弾き飛ばされた。
「なっ!?」
俺は咄嗟の事で何も反応できなかった。
即座に魔法を発動しようとしたがそれよりも早く、それ行なった本人が現れた。
「全く。私を拘束して、御白遊びですか。ああ拘束ですがアレじゃダメですよ。燃やせば抜けられます。ただ紐に付与された魔法耐性の所為で時間はかかりましたが」
そう言って煙の中から出てきたのは、九条先輩と気絶した佐藤先生こと紺色だ。
そこで俺は気がついた。
さっきまでの九条先輩はこの人の変身した姿か......。
怒りよりもこの人の魔法の凄さに驚かされていた。
完璧に騙されていた。
九条先輩が御乱心なだけだと思っていたし。
「それとな御白。お前も気づいてくれなかったじゃないか。冬実先生から会話を繋いでもらっていたが、あんなの私ではないだろ。それとも君は、私が鞄の中に万が一にでも下着を入れていると思っていたのか?」
九条先輩がすごく怒っておられる。
気づくわけねーよ。だってその人カラーズの現役潜入捜査員だぜ?
ある程度の関係を築いた仲ならわかるかもしないが、1ヶ月も共にいない九条先輩は流石にわからん。
「グボハッ‼︎ 元気なようで何よりだ。だが一つだっけ言っておくぞ。これは三神部長発案のドッキリ作戦だからな。俺のせいではない」
変身が解け、男の姿に戻った佐藤先生はそう言った。
「また部長ですか」
九条先輩はそう言って頭を抑えた。
この人部長に好かれてるなぁ。悪戯の対象になることが多い。
「それと伝言だ。頑張れだとさ」
「わかってますよ。足を引っ張らないように頑張ります。あ、武器返してもらっていいですか?」
そう言って九条先輩は先程の武器庫状態の鞄を持ち上げ肩にかけた。
え?
「これは私が先生に取られたものだ」
え!?
「御白?どうした?鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして」
「いやな。九条。お前さん今から何処に戦闘に行くつもりだ?」
佐藤先生が九条先輩に尋ねると、九条先輩は満面の笑みで「護身用だ!」と答えた。
「ほらな。俺の変装完璧だろ?下着の下までは本域で演技していたからな。ちなみにお姉さんって緑の事だろう?姉さんって呼んだら喜ぶと思うぞ?」
先生は俺の耳元で囁いて、そのまま手を振り去っていった。
「うん?どうかしたのか?」
九条先輩は俺に不思議そうに質問をしてきたが、心労が溜まりすぎてもう言い返す気にもなれず、暴れないでくださいねとだけ残して共に目的地へと向かった。
バスの中で先輩に、先程九条先輩(変身した紺色)に渡した紙を渡して説明をした。
「大体は把握した。御白に任せきりになってすまないが私は調査は苦手でな。でも今回は共にやりたかった」
「何故でしょう?」
九条先輩は一つ深呼吸をしてから言った。
「来週の月曜日には、ペアになるのだから少しでも共にいようと思って......かな」
頰を赤らめながら言う九条先輩は、とても可愛かった。
「共に頑張りましょう」
俺がそう言うと「ああ」と答えて俺と先輩は例の鷹虎こと、
ーーーーーー
北斎家は日本庭園付きの立派なお屋敷だった。
俺は家を間違えたのではないかと疑い、表札を見たがそこには【 北斎 】と書かれており、ここがあの喧嘩をふっかけてきた鷹虎の家だと確定してしまった。
全然想像と違う建物に俺と、俺の隣にいる九条先輩も驚いていた。
「何だこれ。別世界ではないか。住む世界が違うというのか。いや今はそんなことを気にしている場合では......というかインターホンは何処だ?」
九条先輩は、この家の有様に相当混乱されているようで、家の周りをキョロキョロと見始めた。
俺もその先輩にならってキョロキョロとインターホンを探し始めた。
なんで表札はあるのにインターホンはないんだよ。
インターホンがなかったら会話もできねーじゃん!
ごめんくださーいって叫ぶ広さじゃねーんだぞ!
「よしわかった。炙り出そう」
へ?
先輩はこの状態で最も不適切な言葉を発して、鞄の中からチャクラムと呼ばれる円盤型の武器を取り出した。
炙り出そうってダメですからね!
俺は咄嗟に先輩の手を止めた。
「な、な、な、な、何やってんですか!」
「なっ!?止めてくれるな!インターホン代わりにチャクラムぶっ放すだけだから!」
「それインターホン代わりになってませんから!」
そうやって押し問答をしていると、中から使用人らしき男が出てきた。
スーツ姿でサングラスをかけており、頭は坊主で見た目からしてSP感が溢れ出ていた。
俺と先輩はその男の登場に黙り込み、男が発する言葉を待った。
「迷惑だ。別の場所でやれ」
男はそういうと、そのまま屋敷の方へと足を戻した。
俺は直ぐに止めようとしたのだが、それよりも早くその男は止まった。
物理によって。
「インターホンが無いのが悪いッ!」
九条先輩が突然カバンに手を入れて叫んだ。
男が振り向こうとした瞬間、男の足の間に警棒を投げつけ、それが右足と左足の間に挟まりバランスを崩したところへ、九条先輩が後ろから蹴りつけようとしたが、男は腕だけを後方へ向け、咄嗟に魔法をぶっ放した。
無詠唱で。
九条先輩は咄嗟に短刀を抜刀して、それを斬り裂いた。
刀身は青い稲妻を弾かせており、それが魔法武器だとわかった。
「やるわね」
九条先輩は鞄を地面に捨て、短刀を構えると微笑みながらそう言った。
男はこちらに振り返り、サングラスをカッと指で押し上げ、「お前もな」と言った。
何ですかね。これ。
次の瞬間、九条先輩が動くと同時に、九条先輩が先程地面に置いた鞄の中から、稲妻を纏った円盤が飛び出し、男めがけて放たれた。
男はそれを見ると、直ぐにスーツを脱ぎ捨て、接近する九条先輩の顔面にスーツをぶつけた。
目くらましか!
俺はそう思ったが、九条先輩は気に止めもせず、それを躊躇なく斬りさいた。
その瞬間、スーツが爆破し、九条先輩が後方へ吹き飛ばされた。そして飛んでくるチャクラムを男は素手で受け止めた。
流石はSP、地属性の魔法により雷を地に流したのか。
「他愛もなっ!?」
男はそう言って余裕を見せたが、何かに気付き、直ぐにそのチャクラムから手を離そうとしたが少し遅かった。
チャクラムが爆音を上げ爆散し、SPの男もぶっ飛んでいった。
「グバァァアアアアアア」
お互いに爆破系の魔法使い同士、それも罠を得意とする九条先輩と互角にやり合うということは、この人も罠系の魔法を得意としているのか。
「たくっ。痛いわね」
九条先輩が打ち付けられた壁から抜け出した。
先輩の制服はボロボロになっており、魔法学園の制服の防御でも貫通する程の威力だったということになる。
「やられたわね。まさか同類とは」
同類というのは地雷使いという点だろうな。
九条先輩も地雷に特化しているが、このSPの男も相当だ。
罠使いの戦いは、お互いの行動のどれが罠でどれか普通の動きなのかを、判断しなければならないため非常に高度な頭脳戦とも言える。
「全く。困った学生だ。チャクラムなんて分不相応な物をと思ったが、まさかチャクラムの形をした爆破兵器とはね」
男は立ち上がると、ヒビの入ったサングラスを押し上げ、こちらに向かってきた。
九条先輩もそれに向かって歩いて行ったので、二回戦かと思ったが突然二人は握手した。
「イープレス学園 2年の九条亜澄といいます。私は部活で賞金稼ぎをやっているものです。息子さんの件で伺いました」
九条先輩がそういうと、男は驚いた様子だった。
「どうして私が鷹虎の父親だとわかったのかな?」
それは俺も思ったことだ。見た目や行いは完全にSPのそれだった。
「貴方が暴れているのに他の者が駆けつけてきませんでした。つまりSPであれば他のSPも助太刀に入るはずですがそうしなかった。つまり貴方は彼等が助太刀できない立場におられるということです。そしてこの家に置いてその人は父親でしかないと考えました」
「なるほど。ハズレだ。君はあまり考察は得意ではなさそうだ。戦闘タイプなんだろうね。考察は君が得意なのかな?」
そう言って男は俺に声をかけた。
「1年の御白 友晴です。考察というわけではありませんが、ただ一言だけいうとするなら、九条先輩の言った通り、貴方は父親ですよね。あまり先輩をバカ扱いしないでもらえますか?」
俺がそういうと男は大声を上げて笑った。
「フハハハハハハハハハハハ!末恐ろしいな!すまんすまん、賞金稼ぎというのでな、その実力を試させてもらった。二人ともとても良い。案内しよう。私の家に」
そういうと男は俺達を、屋敷へと案内してくれた。
「うん?私の考察は合っていたのか?間違えていたのか?どっちなんだ?」
九条先輩はあのオッサンが変な嘘をついたことによりどういうことだ?と呟いていた。
あのオッサンの言った通り馬鹿なのかもしれませんね。
まあ戦闘能力高いし、戦闘に関しての考察とか策略は群を抜いているから、多少は大目に見てやってくださいよ。
「というかですね。あの人が一般的な魔法使いだったらどうしたんですか!あの人の実力が高かったから良かったものの、違ってたら大事件ですよ!」
俺は九条先輩に説教をしたのだが、九条先輩は笑いながらこう言った。
「あの人は見た感じできる人だとわかったし、それにあの人私達に対して敵意むき出しだったのでな。やっちった」
テヘと舌を出して、可愛い顔をされる先輩を見て俺は一言だけ
「まじですか」
と声に出していた。
九条先輩は何がだ?と言ったが何でもありませんと答えた。
そしてなんとか屋敷に入り、一室に案内された。
和の雰囲気の建物内は、障子張りの戸がいくつもあり、何に使うのだろうと思う程に部屋の数が多い。
俺達の案内された部屋すらも、そこである必要性がわからないが、掛け軸に【仁義】と書かれており、なんともまあ威圧的な部屋だ。
部屋は畳が敷き詰められており、部屋の真ん中に四角い机があり、俺と先輩は庭側に座り、父親は掛け軸のある方、つまり俺達と対面する形で座った。
そして俺達が座布団に座ると、着物を着た女性が、お茶を出してくれた。
使いの者らしい。
なんというか、お金持ちなのはわかった。
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