第8話 カラーズvsオーディン
「こちら緑。対象だったホムンクルス制圧完了。しかしオーディンを名乗る男が現れました。尚、オーディンが帰宅しようとしたのを、無色が結界に閉じ込めたことで、オーディンは魔法により結界の術者を炙り出すと宣言しました。つまり絶賛私達がピンチです」
駅の線路に隠れていた一人の女性がこの場にいない仲間へと連絡を入れた。
「WHAT!? ボクノセイデスカ!?アイツ、ミスターブラックへ、キガイクワエヨウトシタ!ニガスワケニイカナイ!」
女の言葉を聞いた、同じく線路に隠れていたカタコト日本語の男は喚いた。
どう見ても見た目は外国の人には見えないので言葉とのギャップに違和感が生まれてしまう。
「うるっさい!こっちの居場所がバレるでしょ!貴方の魔法によってアイツを閉じ込めてるからいいけど、結界破られたらあの、グングニルやらスレイプニルやらってのが、本物なら本来の力を取り戻すのよ?わかってるの?」
私はそもそも運び屋だ。
こんなことする予定もなかったのに!
もう!災難だ。
「ワタシノ、マジックガ、ヤブラレル?タッハッ!アリエナイネ!」
「変なフラグ建てないで欲しいんだけど」
「ハタナンテ、タテテマセンヨ」
コイツ何言ってるんだ?って顔で見られた。
ああ!もう!なんでコイツとチーム組ましたんだ本部の連中わ!
脳を使え!っての!何相手のご帰宅を防いでんだ!
ほらなんか光る槍が無数に飛んできてんだけど!
「風よ纏え・我を守れ・風の
緑と無色を覆うように風のドームが形成された。
光の槍はその風に当たると別の場所へ流され風を突き破ることはできなかった。
「危ない危ない。とりあえず早く帰ってもらいたいから魔法を解いて欲しいんだけど」
「アナタ。バカデスカ」
イラッ!なんなんだコイッゥ!
イラつく!馬鹿だって!?そりゃあんただろ!
「ご、ごめんねぇ......私馬鹿だからわからないんだ......どーゆーことかなー?」
眉間にシワ。イライラマーク隠せてねぇ!やばいコイツから言われると普段より怒りが表に出てくるわ!
「サッキ、グリーンガイッテタジャン?ホンライノカタチ二、ナルッテ!ツマリ、アイツガ、モトノセカイヘ、カエルニハ、バリアアウト、ヒッス!......アッ」
つまり結界によってこちらから出ることを出来なくしてるから奴はここから出ることはできないと、そして帰らせるためには結界を解く、つまりあの槍とか馬が本来の力を取り戻すリスクがあると。
そしてその結界を現在コイツは説明しながらミスってバリアアウト宣言をしたことにより......
「オーマイガッ!ゴメンナサーイ」
★★★★★★
おいおい。マジかよ。小さな光の槍はまあわかる。炙り出すためにこの結界の中で使える最大限の力で放ったと。この結界は一定以上の魔力を吸い取る性質があることに気づいての行動だ。
そしてその後、瞬間的にさっきの槍と馬が急にデカくなった。
槍からは禍々しいドス黒いオーラと真っ赤なオーラが出ているし形まで変わって最早それは素槍などではなく、大剣の様な形をしていた。
そしてポニーはというと、黒きサラブレッドとなり、尚且つ足は8本という最早逸話通りのスレイプニルの姿となった。
「あれれぇー?急にどうしたのかなー?まさか炙り出すはずだったのに、殺しちゃったかなー?ごめんねー」
いやいやいや!無色に限ってそんなことあるはずがないだろ!アイツもプロだぞ?そんなミスするはずがない。
無色がここにいることは、先ほど黄色から連絡が入った。
そしてあの強いホムンクルスと鉢合うように仕組んだのも、カラーズだそうだ。
( 黄色?聞こえるか?聞いてるんだろ?何があった?)
( 聞こえてますよー。大変なことになったわね。聞きたいことを一言で答えると、間違って5日間かけて作った結界解いちゃった。ゴメンナサーイ!って事よ)
うん理解した。いつも通り平常運転で安心するゾ!だが無色さん。これはマズイよ。全力の、オーディンさんなんてどうする事も出来ないよ?
だってこれ、槍と馬がどうみても本物だし、オーディン(笑)ではなくオーディン様に変わったわけだ。
「ブラックボーイ!ゴメンナサーイ!カセイシマスネ!」
線路の方から無色が走ってきた。そんなところに隠れていたのか!?
つーかなんで電車に轢かれてないんだよ。
( あの結界の中に入った瞬間に別の世界だからよ。つまりこの場所には私達以外はいないし、入る事も出来ない。黒と九条さんには許可したけど他の人は無理だったの。でも結界が消えた。つまり他の人も入って来るわ)
つまり避難した訳ではなく、隔離していたのか。この世界を。
「なん......だ。アレ」
高校の制服か。別の高校の生徒のようだ。なるほど、ここからは非常に戦いにくくなる。
「なあ。無色。軽めの人避け程度の結界作れないのか?」
「リョウカイ!ラッピング」
?先程の学生の姿が消えた。
「ゲンザイ、コノバショ、カミカクシアッテル!ダカラカンショウデキナイ」
「流石だな」
こいつは結界の中から吸い取った魔法を自分の魔力として使える。だからこんな結界をすぐに貼れるわけだ。
そしてそれだけの魔力を吸い取ったのにピンピンしてるあの馬。本当に厄介だ。
「人払いご苦労様ですぅ〜。さぁ!戦いましょうか?こちらの世界の魔法使い!」
先程の光の槍の大きいverと言うべきか。それは避けようのない無数の光の槍による攻撃が開始された。
「任せた無色」
「OK!消えろ」
全ての槍はその場から消えた。
「おぉお!凄いですねぇ!僕の魔力を吸ったからありえないことが可能なんですねぇ。ですがそれが何度できるかって話なんですけど」
再度オーディンは光の槍を作り出した。
「ウインドスピア」
緑による風魔法だった。魔法を展開する隙を狙って放たれた風魔法は完全に敵を捉えていた。
だが風の魔法はオーディンを捉える前に黒馬によって防がれた。
「初心者ですね〜あまり戦闘には参加しないタイプですか?隠れて入ればいいのに〜」
(馬鹿にして)
緑は即線路に姿を隠した。
バリア魔法ね。向こうの世界の連中は皆バリア系魔法使えるというわけね。
「緑もいたのか。どーしてこーなったのかは聞いた。とりあえずアイツをなんとかするしかない」
「何とかって出来るとは思えませんが。普通にヤバイと思いますよ?」
「無色ならできる。それをサポートするのが俺たちの役目だ」
「こいつに頼るの!?ま。それしかないか」
「マカセロダ!ブラック!グリーン」
(こちら黒。とりあえずは奴らを無理やり帰られせるのが目的と設定。馬とオーディンは別の場所へ飛ばす。スレイプニルが本物なら奴の力には、こちらの世界へ秒で戻ってくる魔法が存在する可能性がある。とりあえずは奴らをバラして飛ばす。まずはオーディンから帰らせるぞ)
(緑。了解、スレイプニルの注意を引きつけるからオーディン任せる)
(ムショク。リョウカイ)
(こちら黒。戦闘を開始する)
(こちら黄色。了解。全団員への通達は既にできています。全ての団員は駆けつけられる場合は直ちに迎え。以上)
黒は影を纏い、一気に距離を詰めるため走った。
「炎弾。喰らえ」
指を銃のように作り、魔法を発動。だがオーディンは避けようとはしない。何故なら彼には非常に薄いが強度なバリアがあるから。
「なんですかーそれ?」
そう。その余裕があるから避けない。
(任せた)
(ナイス!ブラック)
炎弾はオーディンの体に前に何かに当たり消えた。
やはり非常に薄い膜があるな。
( コンプリート。ヤレ!ブラック)
(流石〜)
「火炎・装填・被弾・拡散・標的・狙い・連弾」
距離もギリギリまでは詰めたんだ。
一点狙いでの最大威力を出すにはそれだけ命令も必要だ。頼むから防ぐなよ?
「発射」
「なるほど、威力を上げた攻撃ですかぁ?でも残念でーす!私には魔法は効かないんですよ」
そう言って先程同様弾を受ける構えを取った。
だがその炎弾の危険性に反応したスレイプニルが動こうとした。が、スレイプニルは動くことはなかった。
スレイプニルの脚は本来なら、脚力と魔法によりその速度は異常な速度を生むだろう。だがそれは動けたらの話だ。
( こちらオレンジ。加勢する。地属性魔法。足枷。全くマジであのデカブツを止められるとは思わなかったわ。無色のやつマジであの馬の脚だけ魔力を消してやがる)
スレイプニルの後ろに茶髪のエプロンをかけた男が立っていた。
エプロンには食材による汚れが付いているのを見ると、本職の料理教室の途中で抜けてきたようだ。
(サンキューオレンジ)
( はいはい。とりあえず俺の仕事は終わったみたい?帰りたいんだけど。戦いが終わってから出向くはずの俺が、戦いの最中にいるとか信じられねぇわ)
( こちら黄色。
(ハァ。わかりましたよ。全く結界の場所わかっても敵の場所わからねーとまじ焦るからな?入った瞬間に馬の尻が見えた時は死んだかと思ったわ。あと
( はいはいごめんね)
( 流すナァ)
「スレイプニルが反応した?何故でしょうか?このような魔法屁でもないというの.....に?」
オーディンが不思議そうに呟いた。
そして炎弾がオーディンの鳩尾に打ち込まれていた。
「ガハッ。なん.....です、か?」
完璧なまでに鳩尾を捉えていた。
グァァアアアアアアア!
「追撃三連発。全ての弾はお前に被弾すると同時に拡散し、飛び散った弾は燃え上がりお前の肉を焼き尽くす。さっさと帰れ。帰宅は出来るだろ?」
「ど、どういう事だ?何で......」
「何で防げなかったか?答えは簡単お前のそのバリアさ、一部分だけ機能してないんだわ。どこか分かるか?」
「鳩尾でしょうね。だがいつ.....まさか!一発目の炎弾に別の魔法を紛れ込ませた?そんな事が可能.....あ」
そう言ってオーディンは無色を見た。
「イェース!ソノトオリデース」
「何という油断。魔法を吸い取る魔法。何故この世界にそのような魔法があるんだ」
「シラナイノデスカ?シラナイノデスネ。カンタンナコトデスヨ」
「簡単な事?馬鹿にしているのか?」
その瞬間、無色の表情が曇った。
「お前ら異世界の連中が俺達の生活を壊したんだろ?それを阻止するために必要な物だから手に入れた。ソレだけだ。俺の言語がおかしくなったのもその実験の後遺症だ」
「俺はただの戦闘機だった」
「キエロ。ザコ。ニドトコチラノ、セカイ二、クルナ」
無色による魔法が発動された。
「なっ!?私の魔力が!?吸われて」
「貰うぞ?その力はこの世界に危害を及ぼす。ダカラコロス!」
「ニャハ?ニゲヨウトシテル?ノーノーノー!ニガスワケナイヨ!」
「清潔を此の世に《クリーンアウト》」
「足が?消え?ギヤハッ」
オーディンの足が消えそしてその上半身が地に落ちた。
「キエロ。ガイチュウ」
「清潔にした《クリーンコンプリート》」
その瞬間、オーディンは消えた。そしてそれと同じくしてスレイプニルも消えた。召喚者が死ぬと召喚獣も消える。それが召喚魔法だ。
「ブラック。カンペキダッタ?」
「おう。完璧だ!お疲れ!」
「エネルギースベテナクナッタ。アイツラ ツヨカッタ」
「そうですね。貴方達はお強い。ですので僕の心配は無用のようでした。此度は楽しめましたよ!ありがとう」
突然先程消えたはずの者の声がした。
「WHAT!?」
「は?オーディン?」
気がつくと俺達の後ろに先程の青年、オーディンが傷一つない状態で立っていた。
「はい!その通り。まさか私の分身とはいえアレも私ですので倒せた事は誇りに思ってくださいね?あーでもアレは私の力の20分の一程度の力しか持っていないので、私に勝ったとは思うなよ?ってことです。
信じられないと言った顔ですが、そこの少年の影の魔法も同じようなものでしょう。では失礼行きなさいスレイプニル」
そう言うとオーディンはスレイプニルに乗り元の世界へと帰って行った。
「シクジリマシタ。ゴメンナサイ」
「いやアレは仕方ない。むしろ良くやった方だと思うぞ」
「ホントデスカ。ブラック。ありがとう」
これが無色の色合い。
ただ無くすこと。それが無色に染め上げるという戦い方らしい。
そして彼は実験によって捨てられたところをカラーズのリーダーが引き取った。
現在はリーダーの命令があった時のみ、依頼に参加している。
今回もリーダーである白の命令だろう。
( こちら黄色。お疲れ様。これにて今回の任務は終わりです。皆さんお疲れ様、それと黒はそこの学生を忘れないように連れて行きなさい。完全に忘れてたでしょう?彼女を影の世界へ閉じ込めて放置するなんて。まあ意識が無くなってみたいだから問題ないけど忘れちゃダメよ?)
そういえば九条先輩のこと忘れていたな。
つーかカラーズのことバレてないよな。
( こちら緑。お疲れ様。帰るわ)
(無色。カエル)
( オレンジです。おつかれさん。仕事の途中で抜け出してきたんだからな!給料はずんでくれよ!)
(黒。九条先輩のこと完全に忘れてたわ。でもさ、あの結界の中で自分の魔法が機能しなかったって事は、先輩ってかなり強い?)
そう九条先輩は後半油断してたと思っていたのだが、実際は無色の結界により威力を押さえ込まれていたのだ。
俺が何故あの中でも使えるかっていうのは、無色が信頼している者はその中で好きにできるらしい。
(黄色です。九条さんはかなり強いよ。つまりあの結界の中で戦える人より、戦えなかった九条さんの方が、魔力だけで見ると実際は強いってことよ)
( 緑です。黒のこと言ってるなら、黒の強さはそれを強く見せるところにあるんだから。そんな事も知らないの?)
(バカデスカ?イエローハ、オバカサンデスカ?)
無色の魔法について知っている者は俺と、白と本人だけだ。
だから他者から見ると、俺の魔法が魔力だけで見るなら弱いということになる。
(あーもう!うっさい!分かってるわよ!そんな事!早く帰りなさい!いいわね!)
そう言って魔法リンクが切れた。
「解除」
先輩の死にかけた身代わりが消えて、影から別の先輩が現れた。
これぞ俺の魔法。
はぁ。まさか同じ手段であのオーディンに騙されるとはな。コレをされるのってこんな気持ちなんだな。すごくイラつく!
「あれ?怪我がない?どういう事だ?とでも言えばいいのだろうか?」
九条先輩が頭を抑えながら起き上がった。
とでも言えばいいのだろうか?
「おはようございます先輩。と言いますとどういうことでしょうか?」
意図がわからないな。何が言いたいのだろう。
「そうか。ではストレートを投げるとしよう。
初めまして、カラーズの黒色さん。そしてよくも先輩である私を影の中にぶち込んでおいてくれたな。あのまま影を攻撃されたらどうなったのか?など色々考えたが、どうにもこうにも出方がわからないのでな。大人しくそこにいたよ。影の中からお前達の戦いを見学していたさ」
あ。。。
はあああァアアアアアアア!?!?
なんたる失態!?
いやまさかあの状態で気絶してない方がおかしいんだよな。
この人頑丈すぎだって。
だがどう言い訳するか。いやできないだろうな。うん無理だ。
「俺にどうしろと?」
「話が早くて助かるよ。簡単なことだ。学校が本格的に始まると、二人でペアを決める機会があるんだ。これは3年間を通して変わることはない。例外はあるがな。私の場合は前年卒業された方がペアでな、だから今はいないんだ。だからペアになってほしい」
確か5月の新入生歓迎会の日に、ペアの決定も行うとか言ってたな。でも大体の人は同学年で組むものだが、先輩と組んではいけないと言うルールがあるわけではない。
「というか、何故俺なんですか?カラーズだからですか?」
俺もストレートで聞き返した。
「いんや。私は元々君と話していたり、戦っていたりして楽しかったから、誘おうと思っていたんだ。でも、機会が無かった。そもそも先輩と後輩で組むというのはあまりしない人が多いからね」
ま、片方が卒業したら残った方は一人になるからな。
というか理由って。
「ペアの件はわかりました。それで、口止め料はそれだけですか?」
「それだけだが?なんだもっと色々要求してほしいのか?」
「いえ、そのままにしておいてください」
九条先輩に手を差し伸べ、先輩を起こした。
「なんだ。気が効くじゃないか」
「男ですし?」
「そうか。とりあえず報告しておくよ。一年御白は見事にホムンクルスを倒していたとね」
「え?」
「黒というのは誰にも言わないよ。これは、誓いだ。違えることはない。でもそれを利用させては貰うよ。まあまず最初に私が負けて倒れたことは秘密に頼む」
「は。はい?」
「実際のことを言うとアレなんだが。ホムンクルス相手に気絶したとか言いたくない。だからお前が倒して私はそれを見ていたと言うことにする!わかったな!」
「はい!」
モノ言わせぬ表情ですね。ハイわかりました。反論なんてありません。
「まあ後はペア組んでくれればそれでいいさ」
九条先輩は影からの抜け方がわからないと言っていたが、今回九条先輩に使った魔法は影に身を隠すだけのもの。
だから出ようとすれば出られたのだがな。
怖い人だ。起きて、すぐに状況を把握して、影の中にいることを認めて、ここは安全であると俺を信じて。最後に俺の秘密まで知るのだから。
そして部活初依頼のホムンクルス討伐が終わった。
★★★★★★
世界と世界の狭間
「オーディン様。此度の旅行は楽しめましたか?」
スレイプニルは言葉を魔法により意思として伝える力がある。
それを使いオーディンとスレイプニルは言葉を交わす。
「楽しめたよー。まさか私の分身が破られるとはねー。向こうの世界の人間にやられたのは2回目だ。あっちの世界も捨てたものじゃないね」
「そうですね。しかしあのチームはあの人のチームだと思いますよ。ほら以前こちらの世界にチームで乗り込んで来たカラーズという色を象徴の名前を持つ者ら」
「うーん。やっぱりそうだよねー。でも違うって言われたんだ」
「それは多分本人からしてもアレはしてはいけないことだったと反省しているのではないですか?」
「そんなものかなー」
「そんなものですよ」
「そんなものだよ」
!?
咄嗟の声に反応し、オーディンはグングニルを手に持った。
スレイプニルは声のした方に身体を反転させ、声の主を見た。
「久しぶりだな。ジジイ......いやでも今は小僧かな」
無精髭の生えた男が立っていた。
ここは次元の狭間。こんなところにただの人間が来れるはずがない。
次元歩行。こいつの魔法は異常だ。次元を超えるとは違う。次元を歩くという魔法。
「久しぶりだね。白色の男。何しに来たんだい?仲間を虐めたことへのやり返しかな?でもそれならごめんだよ。私がやられた方だからね」
「いやいや、俺はそんなことはしねぇよ、挨拶だよ。ほら友達の見送り?的な?」
「友達だと?私がお前といつ友人になった?」
「いつって、覚えてないのか?まあ当時は今より8歳くらい若かったからなぁ」
「覚えているさ。お前は私の分身を破壊した人だからね。私が言っているのは私とお前は友達ではないと言っているんだ」
「悲しいな。ははは。まあいいや、ホイこれお土産だ」
そう言って白色は紙袋を渡した。
罠か?と思ったがなんともまあいい匂いがするのでそれを受け取ると、10個入りのたこ焼きが5パック入っていた。
「たこ焼きか。食べたことが無いな」
「うまいぜ?お前さんとこの仲間にもよろしくな」
「すまない。感謝する」
「いいってことよ!それじゃ俺は帰るな、また俺のチームの連中と遊んでやってくれよ。あいつら鈍っちまうからな!ははは」
「ああ。考えておくよ。私としては君と戦いたかったんだけどね」
「まあそれはまた今度だ、それじゃこの狭間もそろそろ閉まりそうだし帰るな」
そう言って白色は次元の狭間から消えた。
「よかったのですか?彼と友達では無いと言ってしまっても」
「ああ。あいつは以前私に(お前は俺の親友だな!)と言ったんだ。友達への格下げなんて認めるか」
「ああ。なるほどそういうことでしたか。素直にそういえばよかったのに」
「言えるか!ジジイのデレなんて誰得って話だよ」
「今のオーディン様はイケメン系お兄さんですよ?」
「あ。そうだったな。ならどこかの層には需要があったりするのかもな」
「無いでしょうね」
「おいテメェ!くそ!ほら無駄口叩いてないで早く行け!」
「はいはいわかりましたよ」
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