第4話 革命の狼煙部


4話


ハ・メ・ラ・レ・タ



俺はそう思っていた。


学校2日目は授業という授業は無く、学校の設備の説明や校則の説明などで終わった。


そして現在、昨日入ることを決めた革命の狼煙部の部室に来ている。


部室の場所はその部により異なり、革命の狼煙部の場合は空き教室を借りており、そこへ集合とのことだったので向かった。


この教室に先輩方が8名、新入部員であろう者が俺含め6名が自由に席に座れということなので、座っている。


普段の教室と同じように席は並べられていたので、ドア側の一番後ろの席に座った。


先輩達は皆、先に来ており、窓側に座っていたので、自然と新入部員はドア側に集まることになる。

人間の心理である。


そして顧問の先生が2名、教壇の横に立っている。


うち1名は黄色。


そしてもう1人がまさかの紺色だった。


それを見た瞬間俺は確信した。昨日俺に話しかけてきて入部届けを書かせたのは紺色が変身魔法により身体と顔を変化させた姿であったことに。


つまり俺はまんまとこいつらにハメられたというわけだ。


新入部員としては、俺以外の新入部員の内3名が同じクラスの人だった。


まず、三神妹こと三神 由美。


そして、俺が教室で話していた、真田と中谷。二人はどうせ俺がこの部へ入るだろうと思い決めたそうだ。


教室で一緒に行こうと言われた時、驚いたが、やはり昨日教室に俺を探してあの先輩達が来たそうだ。


そこで、この二人はなら俺たちもと決めたらしい。


二人は特に、部活にこだわりが無かったらしい。


「はい、とりあえずはみんな集まったかな?では、始めますね」


教壇に部長である、三神 美咲が立った。


「とりあえず自己紹介ね。私は部長の三神 美咲。そうね〜 。この部は賞金稼ぎをする部活だから、実力的にはある方よ。例えるならRPGゲームのレベル50くらい?なんてね。ま、そんな感じです。よろしくね」


三神美咲先輩は教壇を離れ、窓側の席に座った。


「次は私ですか」


そう言って立ち上がったのは、昨日のイケメン女先輩だ。


イケメン女先輩は立ち上がりお辞儀一つ挟んで教壇へ立った。


「えー。私は副部長の竹田 彩と申します。基本的に私の仕事は、部長の暴走を止める事。あー。実力ですが、そうですね。私の実力は部長の基準に合わせるならレベル51くらいですかね。部長よりは強いです。気楽に話しかけてください。よろしくお願いします」


一つお辞儀をして、元の席へ戻った。


席へ座ると隣の席の部長から「ちょっと!あまり強さ的には変わらないじゃない!50でいいじゃないの!」


「ダメですよ。部長よりは強いんですから。ほら去年の学園祭の時に」

「はいはーい!わかりましたヨォ!」

フンと窓の方へ部長が顔を逸らして、腕を組んだ。

それを見た副部長がフッと笑い、三神 由美がハァとため息をついた。


「次は俺だな」

と言ってスラッとした男が立ち上がった。


見た感じ、俺より身長があるから、175cm以上か。


男はその場で立ち教壇へは行かず、俺たちはこの場でいいか?と部長に尋ね、部長が問題ないわと言ったので、それ以降はその場での自己紹介となった。


三神由美は姉がいつもご迷惑をかけてすみません。という自己紹介などなど、色々あって


そんなこんなで、すぐに俺の順番になった。


「初めまして。御白 友晴です。部長から聞いていると思いますが、影と火の属性が適正です。まあ奇異な目で見ないでもらえると助かります。よろしく」

そう言って、座った。がやはり教室がざわつきはしたが直ぐに止むことになった。


「ハァアアアアアアアアア!?影属性!?イヤイヤイヤイヤ!昨日違うって言ってたじゃない!?何々!?はい?どーゆーこと!?ねぇ!」

部長だった。


まさかのパターンだった。


どうせ知られてるならと、自白気味に皆に教えたものの、まさかの本当に昨日の話を信じてしまっていたようだ。


黄色と紺色がブッと吐き出して笑いをこらえていた。


「部長うるさいです。しかし驚きですね。部長、良かったじゃないですか。それに火属性魔法は確認しましたが、かなりの手練れですよ?レベル45はありますね」


「ねぇ。そのレベル換算やめない?」


「部長が始めたことじゃないですか」


「そうだけどさぁ。驚きすぎて思考がフリーズしてるんだけど。ねえ。影魔法ってあるのか聞いてみてよ!ねえ!彩ちゃん!」


「部長が自分で聞いてください」


「いやよ!あるなんて言われたら気絶しちゃう!彩ちゃんお願い!」


「ハァ。わかりましたよ。御白君と言ったかな?御白君は影属性の魔法ってあると思うか?」


うーん。この質問はどう答えればいいのか。


アイコンタクトで黄色を見たが、黄色の目が床を見ており、紺色を見たら瞼が閉じていた。


あいつラァア。


どう答えればいいんだよ!


「え。ちょ。何この。まさか」


「そうですね。ありそうですね」


「まあ。その辺はどう捉えてもらっても構いませんが、あると思いますよ?属性が存在して、魔法が無いのはおかしいですからね」


「当たり前の事ですね。そもそも影属性だって珍しいだけで、他にもいるかもしれませんしね」


「さやかちゃんは、考え方が柔軟すぎよ!まあそれもそうなんだけど」


「それより部長。次の方の自己紹介がとてもやりづらい空気になってしまったのですが、このまま進めますか?」


「え?」


部長が教室内を見渡すと各々が近くの席の者とヒソヒソ話をしていた。


「ゴホン。黙りなさい......。ハァ。私語は慎め。感に触ることをするな。言ったわよね。新入生が困るような空気を作るなと」


部長の顔から突然、笑顔が消え、真顔で言葉を紡いだ。


それを聞いた先輩達は皆、直ぐに黙りこちらを見た。


新入生達も同じように黙った。


そして皆の心にはこうあった事だろう。


( 貴方でしょうガァア!)と。

そう事の発端はこの人が騒いだことであるのだ。


だが、ここでそんなことを言える勇者はおらず、そしてより自己紹介がやりづらい空気の中、真田が立ち上がった。


頑張れ真田。


「僕は真田 表裏といいます。あの。よろしくお願いします」


そう言って真田が座った。


うぉおい!真田スペック全てがかき消されたぞ。


部長の謎の波動が、周囲の特殊効果をかき消しているのか、何の波動だよ!いつもなら存在する真田から溢れ出る、謎の女の子オーラみたいなのが消えて、今ではただの気の弱い男にしか見えなかった。


「次は俺だ!中谷 龍弥です!よろしく!」

と言って、明るく元気に挨拶してみるも、あの熱血うざい系オーラは存在せずただの空回りしたうるさい男に成り下がっていた。


部長なんてことしてくれてんだ!


こいつらの取り柄かき消されちまったぞ!


そして新入生の自己紹介が終わり、次に顧問の自己紹介となった。


「皆さんこんにちは。私は顧問の冬実律子と言います。よろしくね」

ニコッと笑ったのに、やはり部長の恐ろしき謎の波動は健在だったみたいで、あの普段なら新入生イチコロの笑顔が空振りに終わった。


まあそもそも、新入生のハートを取りに来る意味とか無いけどね。


( 佐藤先生。この空気嫌ですね。変えてもいいですか?)


(え?あぁ。はい、どうぞ )


黄色と紺色の謎のアイコンタクトが目に入ってしまった。


おい待て。何をする気だ。


「私が魔法を一つ見せようと思うわ!よーく見てなさい!」

魔法?突然何を言い出すんだ?


「 たしかこんな感じだったような」

と不気味な前置きの後


「我を構成するは影、影を構成するは我、双極の断り外れ、限界せよ!影の自分ドッペルゲンガー発動!」

黄色の真横で大きな光が出現。


は!?


「皆注目!これが影属性の魔法よ!」


そう言って、一同の視線を現在魔法が構築されているその光に注目するよう仕向けた。


そしてその光から現れた人型の



のっぺら坊



全裸、顔のパーツなし、それどころか必要な突起物が何も無い。


それはもう恐ろしいほどの肌色の物体だった。


マネキンにしか見えないな。


いや実際己の体をコピーしてるから、これは見方によれば黄色の冬実律子先生の全裸なのだが、重要な物が何もかもないため、一体何が何なのか、教室にいた、生徒全員の頭の中は?で溢れかえっていることだろう。


まあそもそも影属性の魔法をこの光の多い場所で発動する事。そして適性からかけ離れた魔法属性の魔法を発動すること。


最悪の条件での魔法はこういったように失敗する。


真田や中谷は小声でアレ何だ?さあ?影属性の魔法って言ってたけど。という会話が聞こえてきた。


紺色はそれが何なのかを知っているため目のやり場に困り、目を逸らし、当の本人は顔面真っ赤で俺の方を見ていた。


( 消し方教えなさいよ!)

伝達魔法で脳内に直接質問を飛ばされた。


うん。知らないで使ったんですね。


影の自分ドッペルゲンガー解除って言えば消せるが、今俺がそれを教えに行くと色々、ややこしい事になる。


それに黄色は相当動揺しているのだろう。


こちらからの言葉があっちに届いていない。


伝達魔法が一方通行になってしまっている。


仕方ないか。


「火炎・装填・速射・撃破」


「発射!」


立ち上がり、指を構えてマネキン冬実律子を狙撃した。


マネキン冬実律子の心臓部分に風穴をあけるとマネキン冬実律子は、光となって消えた。


教室はさらに混乱に陥った。


影属性の魔法を見せると言った冬実先生。


結果としては謎の物体出現。


それを突然撃破する新入部員。



これはアレだ。


暴走だな。


どこに触れればいいのか、混乱に混乱が合わさって、結果として教室は静かになった。


何を話せばいいのか、よくわからなくなっているのだろう。


真田、中谷は口を開いたまま動くことはなかった。


「次は私ですね。佐藤 伸彦です。よろしく。先ほどのやり取りからも分かったと思いますが色々と楽しい部活なので是非3年間よろしくお願いします」


そう言って教壇から離れた。


何故か教室から「まともだ」「マトモです」など普通は出ないような声が上がった。


「えーと、まあ、こんな感じで自己紹介は終わりです。ちなみに顧問の先生方は元カラーズの団員だったそうです!ま。それがあるからこんな賞金稼ぎ部が認められて成り立っているのだけどね。元だから今は違うけど、一応はあの、賞金稼ぎ組織の人だったという事は事実なので、聞きたいことがあれば聞いてみるといいわ」


は?元カラーズ?

バリバリの現役だろ?

( 話したら殺すわよ?白が)

(はい。わかりました。話しません)

早期決着!

白はダメだ。

本当に殺されかねん。

まあ話す気は無いし、それに元っていうのも理解できるから、別に疑問はない。


「それじゃとりあえず。新入生の実力テストでもしますか」


その部長の発言には疑問があるんですがね。


サラッと言い放った部長の一言は新入部員達を再度?の中へといざなった。


ーーーーーー


今年度 革命の狼煙部メンバー


1年

御白みしろ 友晴ともはる(男)

三神みかみ 由美ゆみ(女)

中谷なかたに 龍弥りゅうや(男)

真田さなだ 表裏ひょうり(男)

小崎こさき 春香はるか(女)

日向ひなた ゆき(女)


2年

土方ひじかた 幸雄ゆきお(男)

九条くじょう 亜澄あずみ(女)

福沢ふくざわ 菜夢なゆ《女)

たちばな 藤吉郎とうきちろう(男)

アリス・グレーデル(男)

佐々木ささき かける(男)


3年

三神みかみ 美咲みさき(女)

竹田たけだ さやか(女)

久嶋くしま 桃花とおか (女)

木之下きのした 健人たけと(男)

デイズ・グレーデル(男)

上西うえにし 悠河ゆうが(男)

ふじ 文歳ふみとし(男)


顧問

冬実ふゆみ 律子りつこ (女)

佐藤さとう 伸彦のぶひこ(男)



全19名 顧問2名

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