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「こんな所で常盤さんに会うなんて」
IT系会社の社長で、身長が高くて、イケメンで、愛想が良くて、それでいて困っている人にまでサラリと手を差し伸べられる。
「ずるいなぁ」
結局、恰好いいんだから。
外見だけじゃなくて、中身まで格好いい人にはそうそう出合えない。常盤さんに出会えたのはラッキーだと思う。
だって目標が近くにいる方が、ブレなく目指せるものだから。
まぁ、一生言うつもりないけど。だって常盤さんを目標にしてるなんて言ったら、ニヤニヤしながら手を握って来るに違いない、間違いなく。
それから「そんなに格好いいもんじゃないよ」なんて余裕を見せて言うに違いない。それも格好いいことに気付いていないんだから。
「いや、計算か?」
・・・どちらにせよ、サラリとこなすのだからそんなところも格好いいって俺自身思っているんだろうなぁ。
「チャラくはなりたくないけど」
「花菱君の独り言は大きなぁ」
「わっ!」
思わず小さく飛んだぞ。なんだ急に現れるな! ビビるだろ! てかさっき反対方向歩いてただろ!
「さっきすれ違ったよね? だから追いかけてきちゃった」
追いかけてきちゃったって。
「私もこっちに用事があるしね」
「え、だってさっきおばあ」
「あ、見られてたのか、恥ずかしいなぁ」
そう言いつつも、常盤さんは「ふふふ」と笑った。
「私も随分歳を取ったからね。誰かに優しくされたいんだよ」
だから誰かに優しくするのだろうか。
「今度は花菱君が私に優しくしてね」
また行くよ、と残して常盤さんはビル街に消えた。軽やかでいて芯が通っていて、憧れる。いつかそんな人になれたなら、いや、出来るなら越えたい、なんてな。目標は高い方が燃えるタイプなんだ。
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