《人》が交わる事で、この世界は深くて清々しい泥沼になる。

 どこを切り取っても、この世界は褒め言葉として"泥臭いなあ"と感じる、そんな現代系の都市伝説ストーリーがこの作品。

 容赦のない血生臭い題材、ただし完全な”黒”というわけではなく、一見普通の人物だったり、ありふれた――それこそ現存する三次元に居そうな高校生達が居たりと灰色。

 展開こそ、そんな灰色の世界の日常と非日常の往来ですが、それを彩る、むしろ色を飾り付ける登場人物は、たとえば作家だったり、浮浪者だったり、医者だったり……国籍もまばらな姿で登場することで非常に生々しく、そして混ざることで格別な魅力になる……そういった関係性に是非注目していきたいところです。

 それから。この作品は、おちゃらけたシーンやギャグシーンが絶妙なタイミングで挟まりますが、快晴には至りません。上品っていう世界でもありません。目の前にあるのは、ただただ"スリル"です。どうかお見知りおきを……。